統合失調症について/4.統合失調症の治療-① 薬物療法【抗精神病薬の効果と種類-2】

心の病気

●第二世代の「非定型抗精神病薬」

従来の定型抗精神病薬は、特に陽性症状に対して高い治療効果が認められますが、陰性症状や認知機能障害に対しては、効果があまり期待できないという欠点がありました。

また、定型抗精神病薬は、作用が強いだけに、副作用も強いという問題がありました。
特に、急性の錐体外路症状(EPS)や、慢性のEPSである遅発性ジスキネジア、悪性症候群などを引き起こすおそれがあり、問題となっていました。

そこで、そういった問題を解決するために開発されたのが、陰性症状や認知機能の改善効果も望め、また副作用も比較的少ない「非定型抗精神病薬」です。
1996年に「リスペリドン」が発売されてからは、非定型抗精神病薬が統合失調症の治療薬の第一選択薬となっています。

非定型抗精神病薬は、作用の違いから、「SDA」「MARTA」「DPA」の3つに大きく分類されます。

SDAとは、「セロトニン・ドーパミンアンタゴニスト」の略で、神経伝達物質であるセロトニンとドーパミンの受容体の働きを遮断する作用がある「セロトニン・ドーパミン遮断薬」のことです。
SDAには、リスペリドン(商品名:リスパダール)、ペロスピロン(商品名:ルーラン)、ブロナンセリン(商品名:ロナセン)などがあります。

MARTAとは、「マルチアクティング・レセプター・ターゲット・アンチサイコティックス」の略で、セロトニンやドーパミンだけでなく、さまざまな神経伝達物質の受容体に作用して過剰な働きをブロックする「多元受容体作用抗精神病薬」のことです。
MARTAには、オランザピン(商品名:ジプレキサ)、クエチアピン(商品名:セロクエル)、クロザピン(商品名:クロザリル)があります。

なお、クロザピンは、ほかの薬で効果が見られない「治療抵抗性」の患者さんに効果があるとされていますが、重篤な副作用として無顆粒球症や糖尿病性昏睡を引き起こす危険があり、使い方がむずかしい薬です(クロザピンは指定施設での入院治療が必要です)。

DPAとは、「ドーパミン・パーシャルアゴニスト」の略で、ドーパミンが過剰に働いているときは抑制し、少ないときは刺激して放出するように働く「ドーパミン受容体部分作動薬」のことです。
DPAには、アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)があります。

これらの非定型抗精神病薬は、陽性症状に対しては従来の定型精神病薬と同程度の効果があり、なおかつ陰性症状や認知機能障害などに対しても一定の効果があることが認められています。

また、非定型抗精神病薬は、パーキンソン症状などの副作用があまり出ないものが多く、このため併用している抗パーキンソン病薬などを減らすことができ、さらにリハビリテーションなどほかの治療も進めやすくなるので、社会復帰という観点からも評価されています。

ただ、非定型抗精神病薬の高い効果は認められるものの、万能の治療薬というわけではなく、安全性について評価が定まるには時間を要するものもあります。

したがって、治療薬を定型から非定型に切りかえるべきかどうかは、慎重に判断する必要があります。
新しい薬にかえることで、かえって症状が悪化する場合もあるからです。

それまで飲んでいた従来型の薬がよく効いて、副作用もあまりないようであれば、そのまま飲みつづけるという選択肢もあります。

一方、従来型の薬であまり効果が得られなかった人や、副作用が重い場合などには、新しい薬を試してみてもよいでしょう。
また、再発して入院した場合などには、それまでの薬をやめて新薬に切りかえるよい機会となります。

いずれにしても、薬の切りかえについては、主治医とよく相談し、納得した上で決めることが大切です。

⇒「3」へつづく

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