統合失調症について/1.統合失調症の症状について知る【症状5 興奮・昏迷・暴力など】

心の病気

●急性期にあらわれる「緊張病性症状」

統合失調症の急性期には、幻覚(幻聴)や妄想などの症状のほか、まれに興奮や昏迷、攻撃性、暴力性といった「緊張病性症状」があらわれる場合があります。

統合失調症の興奮は、「精神運動興奮」と呼ばれ、「落ち着きがなくなる」「手をもむ」などのほか、「叫び声を上げながら壁にぶつかる」「足で床をたたく」など激しい運動をともなうこともあります。

昏迷は、意識はしっかりしているのに、外からの刺激にまったく反応しなくなる状態で、急に体をかたくして動かなくなったり、呼びかけても返事をしなくなります。
蠟人形のように固まったままで、手を上げさせれば上げたままになっているような状態を、「カタレプシー(強硬症)」、あるいは「蠟屈症」といいます。
ただ、統合失調症の軽症化が進んだ最近では、あまり見られなくなった症状です。

興奮と昏迷は、突然に入れかわることがあります。
激しく興奮しているかと思うと、急に無反応になったりします。
興奮と昏迷をくり返すケースは、「緊張病症候群」と呼ばれます。

また、被害妄想などがあると、不安や恐怖が強まり、食事や入浴、着替えなどを拒否する「拒絶症」などが見られることがあります。

ほかに、同じ動作をくり返す「常同行為」、同じ言葉をくり返す「常同言語」、他人の言葉や動作をまねる「反響症状」といった奇妙な行動が見られることもあります。

●暴力の背景には幻覚・妄想がある

統合失調症における暴力や暴言の多くは、急性期の幻覚や妄想が引き金となって起こります
迫害妄想などによって、自分の身に危険が迫っていると強く感じたり、「バカ、死ね」といった幻聴に対する恐怖や強い不安、怒りを感じたりすると、興奮し、攻撃性や暴力性が高まることがあります。

程度の軽い暴力や暴言は、家族や近親者などに向けられることが多いのですが、背景には、身近な人に自分の思いが伝わらないことへの不満やあせりがあります。

相手にケガを負わせるような深刻な暴力は、主に症状の悪化が原因で起こります。
医師の指示を守り、きちんと薬を飲んでいれば、このような深刻な暴力にまで発展することはありません。
治療の中断によって、ニュースになるような事件が起こり、この病気への偏見や誤解を生む原因となっていることは非常に残念です。

なお、患者さんが暴力を起こす前には、次のような様子が見られますので、参考にしてください。

◆落ち着きがなく、動揺、混乱している。
◆ささいなことでかっとなったり、激しく動きまわったりする。
◆暴言を吐いたり、大声で叫ぶ。
◆目を合わせてにらみつける。
◆筋肉を緊張させている。

患者さんが攻撃的・暴力的になる場合は、いきなりそうなるというより、だんだんエスカレートして暴力をふるうことが多いので、家族やまわりの人は、早い段階で本人を落ち着かせることが必要です。

もし、患者さんの興奮や暴力性、攻撃性が高まり、まわりの人が身の危険を感じるような場合は、安全な場所に避難し、すみやかに警察や医療機関(保健所)などへ救援要請を行い、医療につなげることが大切です。
こうした暴力は一時的な症状であり、適切な治療を受けさせるためにも、入院が必要な措置となる場合があることを理解してください。

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