原因不明の「あっちが痛い、こっちが苦しい」身体化障害について

心の病気

【どんな病気?】
病気ではないと医師に言われても、身体のさまざまな症状を訴え続ける

「あっちが痛い、こっちが苦しい」と訴えるものの、検査ではこれといった異常は見当たりません。
それでも症状が治まらないために何軒も医療機関をはしごして検査を受けたりします。
同じ結果に落胆し、今度は検査ミスを疑ったりします。
訴える症状は身体のあちこちに及び、そのときどきで症状が入れ替わります。
こうしたケースでは、身体化障害が考えられますが、精神科で心の障害と診断されても、簡単に認めることができません。
というのも、本人は本当にその症状に苦しんでいるからです。

特によく見られる症状には、吐き気や嘔吐、飲み込みにくさ、手足の痛み、かゆみ、しびれ、うずきなどがあります。
周囲からは狂言のように見えることもありますが、本人の痛みや苦しさは本物で、家事や仕事に支障をきたすこともあります。

発現頻度は人口の0.1~0.2%ですが、女性に限っては1~2%とされており、女性、特に30歳前後に発症するケースが多く見られます。

【精神症状】
●病気ではないと医師に言われても、身体の不調を訴え続け、検査などを繰り返し要求する。症状はさまざまな部位に現れ、一定しない ●本人は症状に苦しみ、家事や仕事に支障をきたす ●抑うつ感、不安感が大きい

【身体症状】
〇吐き気、嘔吐など消化器系の不調 〇飲み込みにくさ 〇手足の痛み 〇かゆみ、灼熱感、しびれ、うずきなど皮膚の不調 〇月経の不調

【病因】
<遺伝・体質的な背景>
遺伝的な要素が認められる症例もある。

<心理・社会的な要因>
原因は解明されていないが、ストレスを適切に処理することができず、代わりに身体を使って表現してしまうものと推測されている。

【治療法】
治療はカウンセリングが中心となる。
感情や衝動を適切に表現するためにはどうしたらいいのか、患者が気づくための手助けをする。

<薬物療法>
気分の落ち込みが強いときは抗うつ薬、不安感が強いときは抗不安薬を処方するが、薬物依存・乱用に陥りやすいので注意が必要。

<精神療法>
悩んでいる身体症状が心の問題から来ていることに気づかせることから始める。
また、集団精神療法やカウンセリングなどを行う。

【経過】
20歳以上で発症するケースが多い。
症状が悪化したり、別の症状が出たりすることが半年以上も続く。
その間に医療機関を受診する人が多い。

【受診の目安】
体調不良で長期間通院しても原因がわからない場合は精神科を受診

本人は身体の病気だと思いこんでおり、「心の病気にかかっているのではないか」と考えることはありません。
そのため、家族が気づいてサポートする必要があります。
家族のなかに長期間通院していても原因がわからない人がいる場合は、一度精神科を受診するのもいいでしょう。

【本人や周囲が気をつけること】
身体が心のSOSを発している

周囲の人たちは、たとえ明らかな身体疾患が発見されなくても、本人にとっては症状が現実のものであることを理解することが大切です。
家族に対する不満がたまっていることが原因となることもあります。
本人に対して思いやりに欠けていたところがないか振り返り、語り合う時間を増やすなどの対応が望まれるところです。

本人は、医師の診断を受け入れ、障害について知る努力をすることも大切です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

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