検査を繰り返しても痛みの原因がわからない「持続性身体表現性疼痛障害」について

心の病気

『どんな病気?』
痛み(疼痛)には、神経障害性のもの、身体の組織の損傷によるもの、心因性のものなどがあります。
持続性身体表現性疼痛障害とは、この心因性疼痛から6か月以上にわたり持続するものです。
心因性かどうかを判断するには、①気分転換をしても症状が変わらない、②鎮痛剤を使っても症状が変わらない、という2点が挙げられます。

痛みはある日突然始まります。
背骨、手、足、下腹部など、いろいろな部位に現れ、一度に数か所、同時に現れることもあります。
痛みは次第に増していき、動くことも困難になり、鎮痛剤を使っても楽になりません。
本人は痛む箇所によって内科や婦人科、整形外科などを受診しますが、診察や検査を受けても原因がわからず、不安から不眠や抑うつ状態を示すようになります。
最後に精神科を受診し、やっと心因性の痛みだと判明することがほとんどです。

残念なことに、原因や病名がはっきりしないうちは、周囲から仮病を使っているのではないかと見られることがあります。
このような周囲の誤解によって、さらに痛みが悪化することがあります。

『精神症状』
●痛みによる精神的苦痛が大きい。または社会生活に支障が出る

『身体症状』
〇少なくとも6か月間は毎日のように激しく絶え間なく痛みが続く 〇全身のいろいろな部位に痛みが現れる

『病因』
遺伝・体質的な背景…親が疼痛障害にかかっていると、子どもも疼痛障害にかかりやすいことが指摘されている。

心理・社会的な要因…ストレスを無意識に抑え込んでしまう傾向のある人が、それを抑えきれなくなり、痛みとして感じるのではないかという説がある。

脳・神経機能の関与…痛みの感覚をコントロールしているエンドルフィン(脳内で働く神経伝達物質)の不足が要因のひとつという説もある。

『治療法』
薬物療法…抗うつ薬、抗不安薬を中心とした薬物療法が中心となり、また、痛みに応じた薬も使用する。

精神療法…症状の原因となっているストレスを見つけ、その対処法を学ぶ。
認知行動療法を用いて、症状が悪くなる要因や、逆に軽くなる要因を明確にし、症状が軽くなるような行動を促していく。
また、カウンセリングで本人が自分の内面と向き合うことで、痛みの原因となるストレスが何かを探っていく。
運動、禁煙、減量など生活習慣の改善も目指す。

『経過』
痛みは慢性的で次第に激しさを増し、行動が困難になることもある。
回復の程度はさまざま。
治療を受けずに治ることも。
30~40代に多い障害で、女性に多く見られる。

『受診の目安』
内科や産婦人科、整形外科などを受診して、検査しても原因がわからない場合は、早急に精神科を受診してみるのがよいでしょう。
回復への道が開けるかもしれません。

『本人や周囲が気をつけること』
心理的な要因とはいえ、本人が痛みを感じている事実に変わりはなく、家族はその苦しみを理解してあげることが大切です。
一方で、家族にも、何もしてあげられない罪悪感など、さまざまな葛藤があります。

特に、症状が長期に及ぶため、看病する家族も疲弊していきます。
家族が本人の痛みを完全に共有することは不可能ですが、本人の痛みに同調しすぎることがないように、冷静さを保ちながら、温かく寄り添う姿勢を示すことが大切です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史