1回だけのはずが、深みにはまっていく「薬物による障害」

心の病気

【どんな病気?】
覚醒剤やシンナーなどに依存し、法律を犯すことも

覚醒剤、危険ドラッグやシンナーなど、依存性のある薬物を使い続けているうちに、心身に異変が生じ、自分をコントロールできなくなり、薬物に溺れてしまう障害です。
市販の鎮痛薬や咳止め薬、病院で処方される睡眠導入薬や抗不安薬でも依存症になる可能性があります。

好奇心から「1回だけ」のつもりで使用したことで、抜けられなくなる例も多く、そこから家族や周囲も巻き込んで、悲惨な末路をたどってしまうこともあります。
法律で禁止されている薬物に手を出した場合は逮捕されるなど、さらに厳しい現実が待っています。
家族はあらゆる手段を使って薬物をやめさせようとしますが、その期待は裏切られがちです。
それだけ依存性が強いのです。

【精神症状】
●薬物の有害な使用により、一時的な陶酔感、酩酊感などを得るが、疲労感や不安感、知覚異常、意欲の減退、無気力、抑うつなどの障害が生じる ●幻覚や妄想、強迫観念などが生じる ●離脱症状として睡眠障害、抑うつ、不安、焦りなどが生じる ●薬物の摂取がほかの何よりも優先される ●薬物の効果が切れると、使いたいという欲求が猛烈に湧いてくる ●薬物の量をコントロールできなくなる ●薬物の使用を中止すると、不快な症状が現れる ●薬物を何としても手に入れようと犯罪に手を染めることもある

【身体症状】
〇脳・心臓血管障害 〇血圧、免疫機能の障害 〇筋肉や関節の痛み 〇けいれん発作 〇食欲の増進あるいは減退 〇嘔吐 〇下痢 〇異常な発汗 〇倦怠感

【病因】
<遺伝・体質的な背景>
遺伝的に薬物障害になりやすい人がいるのではないかという研究がある。

<心理・社会的な要因>
他の精神障害、薬物使用を促す仲間の存在が因子となり得る。
青少年では、好奇心から試して依存に陥るケースが多く見られる。

<脳・神経機能の関与>
神経伝達物質の異常を指摘する研究がある。

【治療法】
外来治療が基本となり、入院が必要となることもある。
薬物を使わないための自己コントロール法を獲得することが優先される。

<薬物療法>
離脱症状を軽減する薬

<精神療法>
支持的精神療法、集団精神療法、家族療法、リハビリテーション、自助グループへの参加など。

【経過】
完治することは難しいが、日常生活に支障がないレベルに回復することは可能。

【受診の目安】
まずは家族が相談に動くこと

薬物依存の治療は、家族の相談から始まるのがほとんどです。
本人や家族の努力だけでは依存から脱するのは難しいため、家族が早急に専門機関(各都道府県にある精神保健福祉センターなど)に相談に行く必要があります。
そして、適正な医療機関を紹介してもらいましょう。

【本人や周囲が気をつけること】
本人も家族も自分を責めないで

家族は、「自分が何とかしなければ」とか「自分たちにも責任がある」などと問題を抱え込んでしまいがちです。
本人ばかりでなく、家族にも誰にも相談できず、むなしく時間が過ぎていってしまうことが多いでしょう。
しかし、これはあくまで本人の病気だと捉え、自分や本人を責めることなく、治療に向かうようにすることが大切です。

地域の専門機関に相談し、まず薬物に関係する人間関係と縁を切るように行動するとともに、自助グループに参加し、同じ体験をもつ仲間と治療を進めることも必要です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史