認知行動療法とは-⑦ ~考え方と治療の流れ~【認知行動療法のおもな種類-2 <認知へのアプローチ法>】

メンタルケア

こころの病気の概念は、この数十年で大きく変化しています。

たとえば、こころの病気としてもっともよく知られている、うつ病。
以前は、「何をしていてもつらい」「楽しみをいっさい感じられない」という、慢性的なうつ症状を訴える人が中心でした。
しかし現在は、特定の時間帯に抑うつ症状が現れたり、仕事中はうつ状態だけれど、旅行などの趣味は楽しめるといった「非定型うつ病」が急増しています。
とくに、都市部の女性でこのような病態がめだつようになりました。

また、非定型うつ病の前ぶれとして起こることも多い、不安障害の患者さんも増えています。
電車のなかなどの公共の場面で発作を起こす「パニック症(パニック障害)」や、人前で何かをすることに、強い不安や恐怖を感じる「社交不安障害」などは、その代表例です。

こうしたこころの病気の治療には、まず薬を使った治療がおこなわれます。
しかし、薬で一時的に症状を改善できても、再びうつや不安の症状になやまされる人は少なくありません。

そこで現在、こころの病気に有効な治療法として、薬物療法と並んでおこなわれているのが、認知行動療法です。
認知行動療法の最大の特徴は、なんといっても、効果が科学的に実証されていることです。
そのため現在は、もっとも有効な心理療法として、世界的な広がりを見せています。

認知行動療法についての7回目です。
こころの病気や、こころのつらさに悩むすべての人に、少しでもお役立ていただけることを願っています。

尚、当ルームでは、カウンセリングにより認知行動療法が最善であると判断した場合は、同意を頂いた上で、それぞれの方に合ったペースで実施させて頂いております。
お気軽にご相談下さいませ。

【認知行動療法のおもな種類-2 <認知へのアプローチ法>】

認知行動療法のうち、認知へのアプローチ法は、行動療法より後に考案された比較的新しい治療法です。
そのルーツはエリスの論理療法と、ベックのうつ病の認知療法です。

認知を変えることを「認知的再体制化」という
つらい感情の多くは、自分をつらくするようなゆがんだ認知から生じています。
こうした不適切な認知を、状況に合った適切な認知に変えていくことを「認知的再体制化」といい、認知行動療法に欠かせないプロセスです。

<エリスの論理療法>
エリス博士は、つらい感情を生み出すゆがんだ認知を「不合理な信念」と名づけました。

たとえば「つねによい結果を出さなくてはならない」というのは、不合理な信念の代表例です。
この信念を、「よい成果を出せるのにこしたことはない」「よい成果を出せたらいいな」に変えるだけでも、気持ちはずっとラクになります。
論理療法では、このような「~でなければならない」といった信念にとくに焦点をあて、その変容をめざします。

<ベックのうつ病の認知療法>
うつ病の人に特徴的なゆがんだ認知を3つに分類
ベック博士が考案したうつ病の認知療法では、ゆがんだ認知を「自動思考」「推論の誤り」「抑うつスキーマ」の3つのレベルに分類し認知と感情のパターンを説明しています。

<その他の認知的介入法>
論理療法や認知療法の発展形として、ストレス免疫訓練もある
論理療法などの発展形として、現在もさまざまな治療法が開発されています。
とくに近年注目されているのは、ストレスへの免疫をつける「ストレス免疫訓練」です。

【認知行動療法は、行動療法と認知療法の発展形】

認知行動療法は、はじめから単一の治療法として確立されていたわけではありません。
より高い効果を求め、複数の治療法を組み合わせて開発された治療法です。

以前の心理療法では精神分析的手法が中心だった
20世紀半ばまでの心理療法は、フロイトに代表されるような「精神分析」が主流でした。
セラピストは患者さんに対し、具体的な指示やアドバイスをいっさいせず、患者さんの話を聞いて分析する方法です。

しかし1960年代に入り、この方法に疑問を感じ始めた2人の臨床家が現れました。
認知行動療法の考案者ともいえる、エリス博士とベック博士です。

論理療法と認知療法が、認知行動療法のルーツ
エリス博士は、セラピストが積極的にアドバイスをしながら偏った考えかた(=不合理な信念)を変えるほうが、治療効果がずっと高いことに気づきました。
そこで新たに考案されたのが「論理療法」です。
一方のベック博士も、うつ病の患者さんを診るうちに、彼らに共通の認知のゆがみに気づきました。
そこでそのゆがみを修正し、適応的な認知に変える「うつ病の認知療法」を開発したのです。

行動療法の技法をとり入れ、認知行動療法が完成した
こうして生まれた、認知を変える治療法に、学習理論をベースに行動の変容を促す「行動療法」が組み合わさって、現在の認知行動療法が誕生しました。
認知を変える方法にも行動療法にも、それぞれにたくさんの技法があるため、認知行動療法は、認知や行動を変えるさまざまな技法の総称といえます。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史