認知行動療法とは-⑥ ~考え方と治療の流れ~【認知行動療法のおもな種類-1 <行動へのアプローチ法>】

メンタルケア

こころの病気の概念は、この数十年で大きく変化しています。

たとえば、こころの病気としてもっともよく知られている、うつ病。
以前は、「何をしていてもつらい」「楽しみをいっさい感じられない」という、慢性的なうつ症状を訴える人が中心でした。
しかし現在は、特定の時間帯に抑うつ症状が現れたり、仕事中はうつ状態だけれど、旅行などの趣味は楽しめるといった「非定型うつ病」が急増しています。
とくに、都市部の女性でこのような病態がめだつようになりました。

また、非定型うつ病の前ぶれとして起こることも多い、不安障害の患者さんも増えています。
電車のなかなどの公共の場面で発作を起こす「パニック症(パニック障害)」や、人前で何かをすることに、強い不安や恐怖を感じる「社交不安障害」などは、その代表例です。

こうしたこころの病気の治療には、まず薬を使った治療がおこなわれます。
しかし、薬で一時的に症状を改善できても、再びうつや不安の症状になやまされる人は少なくありません。

そこで現在、こころの病気に有効な治療法として、薬物療法と並んでおこなわれているのが、認知行動療法です。
認知行動療法の最大の特徴は、なんといっても、効果が科学的に実証されていることです。
そのため現在は、もっとも有効な心理療法として、世界的な広がりを見せています。

認知行動療法についての6回目です。
こころの病気や、こころのつらさに悩むすべての人に、少しでもお役立ていただけることを願っています。

尚、当ルームでは、カウンセリングにより認知行動療法が最善であると判断した場合は、同意を頂いた上で、それぞれの方に合ったペースで実施させて頂いております。
お気軽にご相談下さいませ。

【認知行動療法のおもな種類-1 <行動へのアプローチ法>】

行動療法は、心理学における学習理論にもとづいて、発展してきた治療法です。
その歴史は古く、そのため治療法のバリエーションが数多くあります。

<エクスポージャー法>
苦手な対象に徐々に慣らし、不安感、恐怖感を減らす
不安や恐怖を感じる状況にあえて近づくことで、不安や恐怖を軽減していく治療法です。
心理学では古くから研究されていた学習理論のうち、「慣れ」の原理を応用した方法で、代表的な行動療法のひとつです。
パニック症や恐怖症をはじめとする不安障害などの治療で、認知を変える治療法とあわせて、よくおこなわれています。

<リラクゼーション法>
体の緊張を解き、緊張感や不安感などをやわらげる
筋肉の緊張をゆるめる「漸進的筋弛緩法」や、自律神経の興奮をおさえる「自律訓練法」も、古くからおこなわれている行動療法です。
体をリラックス状態に導くことにより、心の緊張や不安も軽減することができます。
多くの場合、認知の変容と併用しておこなわれます。

<呼吸法>
ゆったりした腹式呼吸で心身をリラックスさせる
漸進的筋弛緩法や自律訓練法と並ぶ、代表的なリラクゼーション法で、不安障害などの治療にとり入れられています。
不安や緊張を感じるときに、腹式呼吸でゆったりと深い呼吸をすると、気分が落ちついてきます。
とくに息を吐くときには、体がリラックス状態になりやすいため、吸う時間よりも吐く時間を長くするのがポイントです。

<バイオフィードバック法>
自律神経系の身体反応を自分でコントロールする
緊張や不安を感じると、体温や発汗量、心拍数、血圧などの生理的反応が変化しますが、自分ではその変化に気づきにくいものです。

そこで、生理的反応の変化を機械を使って確認しながら、反応を自分でコントロールするのがこの治療法です。
生理的反応を制御できるようになると、緊張や不安などの感情もコントロールしやすくなります。

<その他の治療法>
学習理論を応用した方法が多くある
行動療法には、上記以外にもさまざまな技法があります。

たとえば、他者の行動を見聞きしてマネする「モデリング法」は、人前での不安や緊張などの問題に役立ちます。
子どもなどを対象に、より望ましい行動を増やしていく「正の強化法」、行動の難易度を徐々に上げながら目標とする行動ができるようにする「シェイビング法」などの技法もあります。

いずれも単独の治療法としておこなうことは少なく、複数の技法を組み合わせたり、認知の変容と並行しておこなうのが一般的です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

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