認知行動療法とは-⑤ ~考え方と治療の流れ~【従来の心理療法に比べ、効率よく問題を解決できる】

メンタルケア

こころの病気の概念は、この数十年で大きく変化しています。

たとえば、こころの病気としてもっともよく知られている、うつ病。
以前は、「何をしていてもつらい」「楽しみをいっさい感じられない」という、慢性的なうつ症状を訴える人が中心でした。
しかし現在は、特定の時間帯に抑うつ症状が現れたり、仕事中はうつ状態だけれど、旅行などの趣味は楽しめるといった「非定型うつ病」が急増しています。
とくに、都市部の女性でこのような病態がめだつようになりました。

また、非定型うつ病の前ぶれとして起こることも多い、不安障害の患者さんも増えています。
電車のなかなどの公共の場面で発作を起こす「パニック症(パニック障害)」や、人前で何かをすることに、強い不安や恐怖を感じる「社交不安障害」などは、その代表例です。

こうしたこころの病気の治療には、まず薬を使った治療がおこなわれます。
しかし、薬で一時的に症状を改善できても、再びうつや不安の症状になやまされる人は少なくありません。

そこで現在、こころの病気に有効な治療法として、薬物療法と並んでおこなわれているのが、認知行動療法です。
認知行動療法の最大の特徴は、なんといっても、効果が科学的に実証されていることです。
そのため現在は、もっとも有効な心理療法として、世界的な広がりを見せています。

認知行動療法についての5回目です。
こころの病気や、こころのつらさに悩むすべての人に、少しでもお役立ていただけることを願っています。

尚、当ルームでは、カウンセリングにより認知行動療法が最善であると判断した場合は、同意を頂いた上で、それぞれの方に合ったペースで実施させて頂いております。
お気軽にご相談下さいませ。

【従来の心理療法に比べ、効率よく問題を解決できる】

<特徴-1>
深層心理やトラウマを追及しない
従来の心理療法、とくに精神分析では、深層心理を探ることが治療の中心でした。
治療で重視されるのは幼少期の生育環境や心の傷(トラウマ)で、長く抑圧されていた感情を解放し、トラウマを乗り越えることで、つらい感情が改善されると考えられてきました。

しかし認知行動療法では、過去の問題より、現在に焦点をあてます。
どのような過去があろうと、現在の認知を変容させることで、つらい感情を変えられるからです。

<特徴-2>
問題を明確にし、1つに絞ってとり組む
精神分析の基本的な進めかたは、患者さんが思いつくままに話をするというのが基本でした。
この方法は、患者さんが話したいことを好きに話せる一方で、治療が長期化して数年にも及ぶという問題点もありました。

一方、認知行動療法では、1回のセラピーごとに、どのテーマを話し合うかを明確にして進めます。
どのテーマを優先するかを決めて1つずつとり上げていくため、短期間で効率よく、問題を解決することができます。

<特徴-3>
セラピストが積極的に発言する
従来の心理療法では「セラピストは話を共感的に聞く役割で、積極的に話してはならない」とされていました。
しかしその場合、問題が前に進まないことも少なくありません。

認知行動療法では、セラピストが患者さんに具体的なアドバイスをするような、積極的な関わりかたをします。

ただし、セラピストの立場が上ということではありません。
互いに問題を話し合いながら、よりよい解決法をいっしょに探っていくという姿勢です。

<特徴-4>
ホームワークを重視する
面接と面接のあいだに、ホームワークが課されるのも、認知行動療法の特徴のひとつです。
とくに、治療室ではできない現実場面での行動の変化を、ホームワークとすることがよくあります。

認知行動療法は、セラピストがどんなに優秀であっても、患者さん自身が主体的に治療にとり組まなければ成功しません。
セラピストは認知を変容するためのガイド役であり、治療の主役は患者さんです。
ホームワークには、トレーニングの回数を増やすだけでなく、このような主体的な姿勢を育むというねらいもあります。

<特徴-5>
効果を裏づけるエビデンスが豊富
従来の心理療法は、治療者の経験を頼りにおこなわれることも多く、効果が十分に検証されているとはいえませんでした。
一方、認知行動療法では、効果を検証する多数の研究がおこなわれています。
その結果、うつ病をはじめとする心の病気に対し、薬物療法と同等かそれ以上の効果が実証されています。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

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