認知行動療法とは-③ ~考え方と治療の流れ~【認知には、自動思考とスキーマがある】

メンタルケア

こころの病気の概念は、この数十年で大きく変化しています。

たとえば、こころの病気としてもっともよく知られている、うつ病。
以前は、「何をしていてもつらい」「楽しみをいっさい感じられない」という、慢性的なうつ症状を訴える人が中心でした。
しかし現在は、特定の時間帯に抑うつ症状が現れたり、仕事中はうつ状態だけれど、旅行などの趣味は楽しめるといった「非定型うつ病」が急増しています。
とくに、都市部の女性でこのような病態がめだつようになりました。

また、非定型うつ病の前ぶれとして起こることも多い、不安障害の患者さんも増えています。
電車のなかなどの公共の場面で発作を起こす「パニック症(パニック障害)」や、人前で何かをすることに、強い不安や恐怖を感じる「社交不安障害」などは、その代表例です。

こうしたこころの病気の治療には、まず薬を使った治療がおこなわれます。
しかし、薬で一時的に症状を改善できても、再びうつや不安の症状になやまされる人は少なくありません。

そこで現在、こころの病気に有効な治療法として、薬物療法と並んでおこなわれているのが、認知行動療法です。
認知行動療法の最大の特徴は、なんといっても、効果が科学的に実証されていることです。
そのため現在は、もっとも有効な心理療法として、世界的な広がりを見せています。

認知行動療法についての3回目です。
こころの病気や、こころのつらさに悩むすべての人に、少しでもお役立ていただけることを願っています。

尚、当ルームでは、カウンセリングにより認知行動療法が最善であると判断した場合は、同意を頂いた上で、それぞれの方に合ったペースで実施させて頂いております。
お気軽にご相談下さいませ。

【認知には、自動思考とスキーマがある】

瞬間的に浮かぶ思考を自動思考という
認知を詳しく見ていくと、思考の表層にある「自動思考」と、より深層にある「スキーマ」に分けられます。

自動思考とは、さまざまな場面、状況で、パッと瞬時にわき起こる思考やイメージのことです。

たとえば職場で上司とすれ違ったときに、上司が挨拶してくれなかったとします。
このときの状況の受け止めかたは人それぞれで、「上司にきらわれてしまった」と思う人もいれば、「忙しいから気づかなかったのだろう」と受け流す人もいます。

こうした自動思考が、つらい感情を生み出す原因のひとつです。

自動思考は、気分や行動、体調に影響する
自動思考は、私たちの気分や行動、ときには体の状態にまで影響します。

前者のような自動思考が浮かぶ人は、気分が抑うつ的になり、周囲との会話にも消極的になります。
抑うつ感により体が重くなり、朝起きられなくなることもあるでしょう。

自動思考の根本となる考えかたをスキーマという
そして、こうした自動思考のもとになっているのは、その人の基本的な人生観や価値観、信念ともいえるスキーマです。
「自分は人に愛される価値のない人間だ」などのスキーマをもっていると、前者のような自動思考がわき起こってくるのです。

適応的な自動思考を覚えたら、次はスキーマに挑戦
スキーマは、生まれながらの性質や過去の経験などの影響を受けて、形成されてきたものです。
幼少期に、両親からどのように育てられたかなども関係します。
そのため、意識してもなかなか簡単に変えられるものではありません。

そこで認知行動療法では、まず非適応的な自動思考を、適応的な自動思考に変えるトレーニングを行います。

複数の自動思考を修正し、適応的な自動思考が身についてきたところで、非適応的なスキーマを適応的なスキーマに変えるトレーニングに挑戦します。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史