認知行動療法とは-② ~考え方と治療の流れ~【つらくなりやすい認知を別の認知に変える】

メンタルケア

こころの病気の概念は、この数十年で大きく変化しています。

たとえば、こころの病気としてもっともよく知られている、うつ病。
以前は、「何をしていてもつらい」「楽しみをいっさい感じられない」という、慢性的なうつ症状を訴える人が中心でした。
しかし現在は、特定の時間帯に抑うつ症状が現れたり、仕事中はうつ状態だけれど、旅行などの趣味は楽しめるといった「非定型うつ病」が急増しています。
とくに、都市部の女性でこのような病態がめだつようになりました。

また、非定型うつ病の前ぶれとして起こることも多い、不安障害の患者さんも増えています。
電車のなかなどの公共の場面で発作を起こす「パニック症(パニック障害)」や、人前で何かをすることに、強い不安や恐怖を感じる「社交不安障害」などは、その代表例です。

こうしたこころの病気の治療には、まず薬を使った治療がおこなわれます。
しかし、薬で一時的に症状を改善できても、再びうつや不安の症状になやまされる人は少なくありません。

そこで現在、こころの病気に有効な治療法として、薬物療法と並んでおこなわれているのが、認知行動療法です。
認知行動療法の最大の特徴は、なんといっても、効果が科学的に実証されていることです。
そのため現在は、もっとも有効な心理療法として、世界的な広がりを見せています。

認知行動療法についての2回目です。
こころの病気や、こころのつらさに悩むすべての人に、少しでもお役立ていただけることを願っています。

尚、当ルームでは、カウンセリングにより認知行動療法が最善であると判断した場合は、同意を頂いた上で、それぞれの方に合ったペースで実施させて頂いております。
お気軽にご相談下さいませ。

【つらくなりやすい認知を別の認知に変える】

適応的な認知とは、できごとを客観的に理解すること
認知のパターンは人それぞれですが、適応的なものと、非適応的なものに大別することができます。

適応的な認知とは、ものごとを事実に即して判断する認知のしかたです。
一方の非適応的な認知とは、事実を歪曲したり、根拠のない憶測をもとに、ものごとを判断するような認知のしかたです。

適応的な認知と非適応的な認知の見分けかたのポイントは、「そう考える客観的な根拠はあるか」という点です。

例として、仕事でミスをした状況を考えてみましょう。
「またミスをしてしまった。何をやってもうまくできない」と、今回のできごとを判断している人がいます。
この認知は、適応的なもの、非適応的なもののどちらでしょうか?

「またミスをしてしまった」という判断は、根拠のあることかもしれません。
しかし「何をやってもうまくできない」という考えには、客観的な根拠があるでしょうか?

非適応的な認知の典型は、客観性のない思いこみ
「何をやってもうまくできない」と決めつけるのは簡単ですが、大切なのは客観性です。

現実的に考えて、全ての場面で必ず失敗するというのは、むしろむずかしいことです。
今までの人生で、うまくできたことがひとつもない人など、現実にはまずいません。

しかし、このように現実をゆがめて見るような非適応的な認知を、じつは多くの人がもっているのです。

適応的な認知で、つらい感情をなくす
こうした認知が頭のなかにあると、自分の不完全さやうまくいかないことばかりに目がいき、つらい感情を抱えこむことになってしまいます。
「何をやってもうまくできない」といった非適応的な認知を、「たまには失敗するが、うまくできていることもある」という適応的な認知に変えることができれば、つらい感情に悩まされることもなくなっていきます。

※ポジティブ・シンキングとは何が違うの?
ポジティブ・シンキングとの最大の違いは、客観性の有無です。
認知行動療法は、認知のひとつひとつについて「そう考える根拠や証拠はあるか」をていねいに検証する科学的な態度をとります。
そのため、十分な根拠なしに前向きさを推奨するポジティブ・シンキングとは違い、適応的な認知を自分のものにし、効果を長く持続させることができるのです。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史