認知行動療法とは-① ~考え方と治療の流れ~【認知行動療法で、ものごとの捉えかたを変える】

メンタルケア

こころの病気の概念は、この数十年で大きく変化しています。

たとえば、こころの病気としてもっともよく知られている、うつ病。
以前は、「何をしていてもつらい」「楽しみをいっさい感じられない」という、慢性的なうつ症状を訴える人が中心でした。
しかし現在は、特定の時間帯に抑うつ症状が現れたり、仕事中はうつ状態だけれど、旅行などの趣味は楽しめるといった「非定型うつ病」が急増しています。
とくに、都市部の女性でこのような病態がめだつようになりました。

また、非定型うつ病の前ぶれとして起こることも多い、不安障害の患者さんも増えています。
電車のなかなどの公共の場面で発作を起こす「パニック症(パニック障害)」や、人前で何かをすることに、強い不安や恐怖を感じる「社交不安障害」などは、その代表例です。

こうしたこころの病気の治療には、まず薬を使った治療がおこなわれます。
しかし、薬で一時的に症状を改善できても、再びうつや不安の症状になやまされる人は少なくありません。

そこで現在、こころの病気に有効な治療法として、薬物療法と並んでおこなわれているのが、認知行動療法です。
認知行動療法の最大の特徴は、なんといっても、効果が科学的に実証されていることです。
そのため現在は、もっとも有効な心理療法として、世界的な広がりを見せています。

これから数回に分けて、この認知行動療法について説明していきます。
こころの病気や、こころのつらさに悩むすべての人に、少しでもお役立ていただけることを願っています。

尚、当ルームでは、カウンセリングにより認知行動療法が最善であると判断した場合は、同意を頂いた上で、それぞれの方に合ったペースで実施させて頂いております。
お気軽にご相談下さいませ。

【認知行動療法で、ものごとの捉え方を変える】

人それぞれに違う感情をもつのは「認知」が違っているから
気分が沈んでいるときは、あらゆるできごとが、落ち込みや不安の原因になります。
ささいな失敗でも、「何をやってもうまくいかない」などと感じてしまうかもしれません。

一方で、同じできごとに遭遇しても、それほど気にしない人、すぐに立ち直る人もいます。
イヤなことがあっても、誰もが深く落ち込み続けるわけではなさそうです。

このような感じかたの違いは、「認知」の違いから生まれます。

つらく感じる原因は、つらいできごとや状況ではない
認知とは、簡単にいうと、ものごとの捉えかたのことです。
「何をやってもうまくいかない」といった認知をもつ人は、ささいな失敗でもひどく落ちこんでしまいます。
一方で、「たまには失敗するが、だいたいはうまくやれる」という認知をもつ人は、ささいな失敗で落ちこみ続けることはありません。

つまり、つらい感情を引き起こす原因は、つらいできごとや状況そのものではなく、頭のなかにある認知というフィルターなのです。

認知と感情、行動は密接につながっている
できごとや状況に対する反応には、感情だけでなく行動も含まれます。
行動のパターンも、人によってじつにさまざまです。

たとえば失敗をして落ちこんだときに、家に閉じこもって、布団をかぶって過ごす人。
「次は失敗しないようにしよう」と、ミスを防ぐための対策にとりかかる人。
友人に電話をして「私は悪くないのに……」とグチをいう人。
こうした行動の違いも、認知というフィルターの違いによって生まれるものです。

また、行動と感情は相互に影響し合っています。
落ちこんでいると布団から出られず、布団から出ないと、さらに憂うつさに拍車がかかり、何もやる気が起きなくなる、という具合です。
一般的には、活動量が下がるほど、気分も沈んできます。

このように認知と感情、行動は、密接につながり合っています。

そこで、つらい感情を軽減したりとり除くために、認知や行動を変容しようというのが、認知行動療法の基本的な考えかたです。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

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