リストカットなど、自傷行為をたびたび起こす(症状で調べる心の病気-㉟)

症状

自分も周囲もおかしいと感じるとき、その症状によっては様々な「心の病気」が疑われます。
放っておくと症状はどんどん悪化し、結果的に治療が長引いてしまう結果にもなりますので、早めの受診が必要です。
症状で調べる心の病気』の35回目です。
皆様に、少しでもお役立て頂けたらと思います。

【リストカットなど、自傷行為をたびたび起こす】
自傷(行為)は、自分で自分の身体を傷つけることです。
手首を切るリストカットのほかに、髪の毛を引き抜く抜毛や、爪かみなどが挙げられます。
自傷は意識的に行われることもあれば、特に意識もせずに衝動的に行われることもあります。

自傷は、心の痛みを示すサインです。
その多くは不安、怒り、絶望など、苦痛を伴うつらい記憶や感情を、一時的でもいいから和らげるために行われます。
また、自殺目的の行為ではありませんが、徐々にエスカレートして、結果的に自殺を引き寄せてしまう危険性もはらんでいます。

自傷は適応障害、うつ病、摂食障害、パーソナリティ障害などでも見られ、薬物乱用や性の乱れとの関連も指摘されています。

うつ病・情緒不安定性パーソナリティ障害・適応障害について、それぞれの更に詳しい症状としては、以下の様なものがあります。(●…精神症状/〇…身体症状)

<うつ病>
強く長いストレスにさらされたときにかかることがある。
●気分が落ち込む ●日ごろ興味や喜びを感じていたものに気持ちが向かない ●行動するのも考えるのも面倒でおっくう、疲れを感じやすい ●集中力や注意力の低下 ●自信喪失 ●自責の念や無価値観 ●将来を悲観的にとらえる ●自傷行為(自分を傷つける)をしたり、自殺を考えたりする
〇不眠 〇食欲低下、体重減少 〇性欲の減退 〇疲れやすい体質(易疲労性=身体をあまり使っていないのに疲れを感じる)

『原因』
うつ病の原因は、まだはっきり解明されていない。
かかりやすい体質は遺伝しやすいが、ストレスなどからくる環境要因の影響が大きいと考えられる。
ストレスとなる日常の出来事(昇進、退職、転居、過労、死別、離婚、出産など)がきっかけとなって発症するケースが多いといえる。

しかし、環境要因が見当たらなくても発症することもある。
うつ状態になると、脳内のセロトニンノルアドレナリンなどの神経伝達物質(脳内の神経細胞間の情報を伝達するもの)の働きが低下していると考えられている。

うつ病にかかる前の性格として、几帳面、凝り性、完璧主義、仕事熱心、勤勉で責任感が強い、周囲の人に気をつかう、悲観的、自己愛が強い、などが挙げられる。
日本におけるうつ病の生涯有病率(一生のうちで病気にかかる割合)は6.6%(平成18年度世界精神保健調査データより)で、およそ15人に1人がうつ病を経験していることになる。

『治療法』
なるべく早い段階で心身を休めることが、すみやかな回復へとつながる。
会社であれば、医師に診断書を書いてもらい、会社を休むなど。
主婦であれば家事を家族と分担したり、多少の手抜きをするなどして、療養をとる。
そのうえで、薬物療法と精神療法が併用される。

自宅で休養が困難であったり、自殺が懸念されるなどの重症な場合には、入院治療が必要となる。

薬物療法…抗うつ薬、その他
精神療法…認知行動療法、支持的精神療法、対人関係療法など

<情緒不安定性パーソナリティ障害>
感情が不安定で、衝動的

衝動型
自分をコントロールできない
●感情が常に不安定。
●結果を考えず、衝動的に行動する。
●非難されたり、邪魔されたりすると、突然激しく怒り出し、暴力を振るうこともある。

境界型
対人関係や社会生活への不安(境界性パーソナリティー障害)
衝動型の特徴に、以下の特徴も加わる。
●自分がどんな人間で、何を目指し、何を欲しているのかわからず、混乱し続けている。
●絶えず、空虚感がある。
●他人に対しては、理想化したかと思えば、急に幻滅して攻撃したり、目まぐるしく感情が変化する。
●感情的に常に危機的状態にあり、万引きや自傷行為を繰り返したり、自殺を企てたりする。
家族や周囲への依存が強い。
●「見捨てられた不安」があり、絶望的な気持ちになる。
●「よい自分」と「悪い自分」が気分によって入れ替わり、周囲を戸惑わせる。

『経過』
・治療は「衝動型」と「境界型」を分けて考える。
・「衝動型」は、自分の性質を把握することから始め、暴走を止めるよう社会的スキルを重ねていく。
「境界型」は、まずは危険性の高い衝動行為を抑えることを優先し、次に偏った考え方を正したり、コミュニケーション力を身につけていくような治療を進める。

『配慮点』
・家族はたとえ治療期間が長くかかっても、再発したとしても、焦らずに愛情深く回復を待つことが大事。
・通院が終了しても、同じ病気の者同士の集まりに参加して話し合うなど、社会とのつながりをもつことが大切。

<適応障害>
適応障害とは、ストレスとなる様な出来事に上手く馴染めず、心や身体に様々な症状が現れ、社会生活に支障が出る心の病気です。
●憂うつ感 ●気分の落ち込み ●絶望感 ●不安感や焦り ●恐怖感 ●感情がコントロール出来ない ●神経質になる ●引きこもりがちになる。学校や仕事に行きたくなくなる 〇動悸 〇発汗 〇めまい 〇不眠 〇肩こり 〇疲労感 〇食欲不振 〇やせ(体重減少)

この場合のストレスとは、大災害などの「非日常的な」出来事ではなく、進学や就職、退職、職場環境の変化、親元からの自立、結婚、離婚、死別など、日常生活で一般的に起こり得る環境の変化です。

通常、人はこうしたストレスとどうにか折り合いをつけて対応していきます。
ところが、ストレスが過剰であったり、耐えきれない負荷がかかると、適応障害という形でSOSのサインを出す事になります。

うつ病や全般性不安障害などと混同されがちですが、適応障害はストレスの原因がはっきりと指摘出来る時に診断されます。
また、これらの精神疾患の基準を満たしていない、あるいはこれらの疾患の単なる悪化でもないという条件に当てはまった時に診断されます。
つまり、うつ病や全般性不安障害などの診断基準を満たす場合は、その診断が優先されます。

ストレスの要因として自覚している出来事があっても、その悩みや苦しみが病的なものか、正常の範囲内か、自分では判断しにくいものです。
一人で苦しみ、もがいていても、病院へはなかなか足が向かないかもしれません。
いつか元通りになる事を待つよりも、迷うなら受診してみる事をお勧めします。

『薬物療法』
抗不安薬、抗うつ薬、抗精神薬など
『精神療法』
ストレスの要因となっている環境から離れる事が第一。
それが難しい場合は、認知行動療法によりストレスに対する適応力を高める事もある。
同じストレスを抱える人(例えば退職者同士など)と一緒に行う集団面接も効果がある。

自分に合った診療機関を探し、治療を始める事で自分なりのペースを取り戻せる可能性があります。
あるいは、信頼している人に気にかかっている事を話してみましょう。
新しい見方が出来る様になれば、ストレスの度合いも変わってくるかもしれません。

周囲の人は本人の悩みや苦しみに気付いてあげる事が大切。
その上で相談にのるなどサポートしましょう。
また、少しでも休養出来る様な環境づくりを心がけます。
短時間での回復は難しいので、長い目で見守りましょう。

心の病気になってしまうということは、誰にでも起こり得ることです。
本人がおかしいと感じること、周りの人がおかしいと感じること、そして周りの人が心の病気を十分に理解し、サポートしていくことが大切です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

心理カウンセリングルーム ナチュラリー. では、「来訪・訪問カウンセリング」、及び、電話・ビデオ通話・メールによる「ネットカウンセリング」と、豊富なメニューを揃えております。
遠方の方におかれましても、どんなお悩みでも、どうぞお気軽にお問い合わせ下さいませ。

●来訪・訪問カウンセリング http://mental-naturally.com/visit/
●ネットカウンセリング   http://mental-naturally.com/internet/