身体が痛み、よくならない/痛みで生活に支障が出る(症状で調べる心の病気-㉝)

症状

自分も周囲もおかしいと感じるとき、その症状によっては様々な「心の病気」が疑われます。
放っておくと症状はどんどん悪化し、結果的に治療が長引いてしまう結果にもなりますので、早めの受診が必要です。
症状で調べる心の病気』の33回目です。
皆様に、少しでもお役立て頂けたらと思います。

【身体が痛み、よくならない/痛みで生活に支障が出る】
頭痛、胸痛、関節痛といった自覚症状があるのに、医師の診察や検査を受けても原因が見つからず、痛みがとれないまま日常生活にも支障が出るときは「身体表現性障害(身体化障害)」が疑われます。

身体表現性障害は、身体に現れる心の病気と考えられています。
痛み・吐き気・しびれなど、長期にわたるさまざまな身体症状に、その原因が特定できないことから生じる過度の苦痛・不安・恐怖といった、心理面での強い不調を伴うのが特徴です。

この病気は、男性よりも女性に多く見られます。
発症要因のひとつにストレスが指摘されることがありますが、その原因は不明です。
また、うつ病など、ほかの精神疾患を併発することもあります。

身体表現性障害・うつ病・持続性身体表現性疼痛障害について、それぞれの更に詳しい症状としては、以下の様なものがあります。(●…精神症状/〇…身体症状)

<身体表現性障害>
異常が見つからないが、身体症状に苦しめられる。

身体表現性障害とは、診察や検査を行っても身体的に異常が見つからないにもかかわらず、痛みや吐き気、しびれなどの身体症状を本人が自覚し、さらに本人自身、その症状をコントロールすることができず、日常生活に支障をきたしている状態をいいます。

たとえば、胃がキリキリ痛んだり、めまいや動悸を覚えたり、それに耐えられず学校や仕事を休んだりします。
また、もしかしたら重大な病気なのではないかという不安にさいなまれることもあります。
身体の不調を訴えて診察を受けても原因がわからないことから、絶望感を覚えたり、自暴自棄になってしまうこともあるでしょう。

この病気なかかる人は、繊細な性質で、何事も悲観的に捉えてしまいやすい性格といわれます。
また、親の介護や過度の残業などで過労となったり、そうしたストレスを周囲に相談することができず、自分だけで抱え込んでしまうタイプの人に多いようです。

治療に際しては、明らかな身体疾患や精神疾患が発見されない場合でも、本人にとっては現実にある障害であることを理解することが大切です。
そのうえで、本人がどのような問題を抱えているのか、どんな不安があるのかなどを探り、ストレスの原因となっている環境調整やストレス対処法などを助言していくことが基本となります。

身体表現性障害には、身体化障害心気障害身体表現性自律神経機能不全持続性身体表現性疼痛障害などの障害が含まれます。

<うつ病>
強く長いストレスにさらされたときにかかることがある。
●気分が落ち込む ●日ごろ興味や喜びを感じていたものに気持ちが向かない ●行動するのも考えるのも面倒でおっくう、疲れを感じやすい ●集中力や注意力の低下 ●自信喪失 ●自責の念や無価値観 ●将来を悲観的にとらえる ●自傷行為(自分を傷つける)をしたり、自殺を考えたりする
〇不眠 〇食欲低下、体重減少 〇性欲の減退 〇疲れやすい体質(易疲労性=身体をあまり使っていないのに疲れを感じる)

『原因』
うつ病の原因は、まだはっきり解明されていない。
かかりやすい体質は遺伝しやすいが、ストレスなどからくる環境要因の影響が大きいと考えられる。
ストレスとなる日常の出来事(昇進、退職、転居、過労、死別、離婚、出産など)がきっかけとなって発症するケースが多いといえる。

しかし、環境要因が見当たらなくても発症することもある。
うつ状態になると、脳内のセロトニンノルアドレナリンなどの神経伝達物質(脳内の神経細胞間の情報を伝達するもの)の働きが低下していると考えられている。

うつ病にかかる前の性格として、几帳面、凝り性、完璧主義、仕事熱心、勤勉で責任感が強い、周囲の人に気をつかう、悲観的、自己愛が強い、などが挙げられる。
日本におけるうつ病の生涯有病率(一生のうちで病気にかかる割合)は6.6%(平成18年度世界精神保健調査データより)で、およそ15人に1人がうつ病を経験していることになる。

『治療法』
なるべく早い段階で心身を休めることが、すみやかな回復へとつながる。
会社であれば、医師に診断書を書いてもらい、会社を休むなど。
主婦であれば家事を家族と分担したり、多少の手抜きをするなどして、療養をとる。
そのうえで、薬物療法と精神療法が併用される。

自宅で休養が困難であったり、自殺が懸念されるなどの重症な場合には、入院治療が必要となる。

薬物療法…抗うつ薬、その他
精神療法…認知行動療法、支持的精神療法、対人関係療法など

<持続性身体表現性疼痛障害>
検査を繰り返しても痛みの原因がわからない。

『どんな病気?』
痛み(疼痛)には、神経障害性のもの、身体の組織の損傷によるもの、心因性のものなどがあります。
持続性身体表現性疼痛障害とは、この心因性疼痛から6か月以上にわたり持続するものです。
心因性かどうかを判断するには、①気分転換をしても症状が変わらない、②鎮痛剤を使っても症状が変わらない、という2点が挙げられます。

痛みはある日突然始まります。
背骨、手、足、下腹部など、いろいろな部位に現れ、一度に数か所、同時に現れることもあります。
痛みは次第に増していき、動くことも困難になり、鎮痛剤を使っても楽になりません。
本人は痛む箇所によって内科や婦人科、整形外科などを受診しますが、診察や検査を受けても原因がわからず、不安から不眠や抑うつ状態を示すようになります。
最後に精神科を受診し、やっと心因性の痛みだと判明することがほとんどです。

残念なことに、原因や病名がはっきりしないうちは、周囲から仮病を使っているのではないかと見られることがあります。
このような周囲の誤解によって、さらに痛みが悪化することがあります。

『精神症状』
●痛みによる精神的苦痛が大きい。または社会生活に支障が出る

『身体症状』
〇少なくとも6か月間は毎日のように激しく絶え間なく痛みが続く 〇全身のいろいろな部位に痛みが現れる

『病因』
遺伝・体質的な背景…親が疼痛障害にかかっていると、子どもも疼痛障害にかかりやすいことが指摘されている。

心理・社会的な要因…ストレスを無意識に抑え込んでしまう傾向のある人が、それを抑えきれなくなり、痛みとして感じるのではないかという説がある。

脳・神経機能の関与…痛みの感覚をコントロールしているエンドルフィン(脳内で働く神経伝達物質)の不足が要因のひとつという説もある。

『治療法』
薬物療法…抗うつ薬、抗不安薬を中心とした薬物療法が中心となり、また、痛みに応じた薬も使用する。

精神療法…症状の原因となっているストレスを見つけ、その対処法を学ぶ。
認知行動療法を用いて、症状が悪くなる要因や、逆に軽くなる要因を明確にし、症状が軽くなるような行動を促していく。
また、カウンセリングで本人が自分の内面と向き合うことで、痛みの原因となるストレスが何かを探っていく。
運動、禁煙、減量など生活習慣の改善も目指す。

『経過』
痛みは慢性的で次第に激しさを増し、行動が困難になることもある。
回復の程度はさまざま。
治療を受けずに治ることも。
30~40代に多い障害で、女性に多く見られる。

『受診の目安』
内科や産婦人科、整形外科などを受診して、検査しても原因がわからない場合は、早急に精神科を受診してみるのがよいでしょう。
回復への道が開けるかもしれません。

『本人や周囲が気をつけること』
心理的な要因とはいえ、本人が痛みを感じている事実に変わりはなく、家族はその苦しみを理解してあげることが大切です。
一方で、家族にも、何もしてあげられない罪悪感など、さまざまな葛藤があります。

特に、症状が長期に及ぶため、看病する家族も疲弊していきます。
家族が本人の痛みを完全に共有することは不可能ですが、本人の痛みに同調しすぎることがないように、冷静さを保ちながら、温かく寄り添う姿勢を示すことが大切です。

心の病気になってしまうということは、誰にでも起こり得ることです。
本人がおかしいと感じること、周りの人がおかしいと感じること、そして周りの人が心の病気を十分に理解し、サポートしていくことが大切です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

コメント