買い物をしすぎる/使わないものまで買ってしまう(症状で調べる心の病気-㉙)

症状

自分も周囲もおかしいと感じるとき、その症状によっては様々な「心の病気」が疑われます。
放っておくと症状はどんどん悪化し、結果的に治療が長引いてしまう結果にもなりますので、早めの受診が必要です。
症状で調べる心の病気』の29回目です。
皆様に、少しでもお役立て頂けたらと思います。

【買い物をしすぎる/使わないものまで買ってしまう】
ストレスのはけ口としてつい買い物をしすぎて、無駄なものまで買ってしまうのは間々あることです。
問題なのは、浪費が習慣化(浪費癖)することや、金銭感覚が麻痺して買い物依存のような状態になることです。

浪費癖や買い物依存は、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、強迫性障害、情緒不安定性(境界性)パーソナリティ障害、知的障害、認知症などで現れやすいとされます。

このうち、双極性障害では気分が異常に高まる躁状態のときに、衝動的に浪費をしたり、高価な買い物をしてしまう傾向にあります。

双極性障害(躁うつ病)・統合失調症・強迫性障害について、それぞれの詳しい症状としては、以下の様なものがあります。(●…精神症状/〇…身体症状)

<双極性障害(躁うつ病)>
気分が落ち込み、活動量が減少する「うつ病」と、気分が高ぶり、活動量が増大する「躁病」が繰り返される障害です。
症状は、ある日突然切り替わることもありますが、症状が落ち着いている期間を経てから切り替わることが多いといえます。

うつの状態は一般的に数か月から1年、躁の状態は1~2か月持続します。
双極性障害は、発症当初はうつの状態であることが多く、双極性のうつの病状と単極性うつ病では同じ症状を示すため、症状だけからこの2つを区別することはできません。
躁の状態が現れて、初めて双極性障害だと認められます。

●元気いっぱいで、多弁になる。疲れ知らずで、さまざまな行動をし続ける。本人はエネルギーに満ちていると感じている ●はじめは陽気で幸福感に浸っているが、次第に怒りっぽくなることもある ●自信過剰で誇大妄想的なことを口にし、傍若無人にふるまう。他人を見下すような態度になることもある ●考えが次々に湧いて、まとまらない ●大声で早口に、脈絡のない話し方をする ●判断力がなくなり、金銭的な問題行動(ギャンブル、不適切な投資、浪費など)に走ったり、性的なトラブルを起こしたりする
〇睡眠時間が少なくなる 〇性欲が強くなる

躁病とうつ病のどちらの状態にあっても、本人は苦しく感じており、社会生活でさまざまな困難が生じやすくなります。
症状がはっきり出てくる前に、何らかの兆候に気づき(うつ病の兆候としては、朝の目覚めが悪い、飲酒量が増えるなど)、早期の受診が望まれます。

ストレスは再発のきっかけになることがあります。
疲れを感じたら、休息をとるように心がけましょう。

<統合失調症>
コミュニケーションが困難、幻覚や妄想が大きな特徴。

【陽性症状】
●ずっと監視されているなど、実際にはないことを確信する(妄想) ●幻覚の症状のひとつとして、誰もいないのに声が聞こえる、悪口を言われる、指図されるなどの幻聴が現れる ●考え方に一貫性がなくなったり、脈絡のない話をするなどの思考障害

【陰性症状】
●喜怒哀楽の感情表現が乏しくなるなど、感情の平板化 ●自分の世界に閉じこもり、周囲の人とコミュニケーションをとらなくなる(自閉) ●自分から何かをしようとする意欲の低下 ●集中力が続かない

【認知機能の障害】
●記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断などの能力に支障をきたす

『病因』
原因ははっきりわかっていない。
遺伝的要因と環境的要因もあると考えられている。
統合失調症の患者の両親が統合失調症であるという確率も高くはない。

病気にかかる前の性格は、静かで控えめ、繊細で敏感、神経質、引っ込み思案、社交性がなく堅苦しい、などがあるといわれるが、必ずしもその限りではない。
社交的でにぎやかな人が発症することもある。

『治療法』
治療には、おもに抗精神病薬(統合失調症の治療薬として開発された薬)を服用する。
急性期の妄想や幻覚には効果がある。
そのほか、症状に応じて、睡眠薬、抗不安薬、気分安定薬などを使用する。
慢性期の患者に対しては、リハビリテーションを行い、社会復帰を目指す。

薬物療法…抗精神病薬、その他
精神療法…支持的精神療法、認知行動療法、心理教育、生活技能訓練、その他

『経過』
発症年齢は15~35歳で、最も多いのは20歳前後。
男女比にはあまり違いはないが、男性のほうが多めで発症年齢が若い傾向にある。
生涯有病率(一生のうちで病気にかかる割合)は0.7~0.8%程度。
治療の見通しについては、病的症状は残るものの、おおむね改善するケースが90%(うち、完全に治癒するものが30%程度)とされている。

一般的には、前兆期→急性期→休息期→回復期をたどると考えられている。
前兆期には、眠れなくなる、物音や光に敏感になるなどの変化があるが、これは通常、誰にでもあることで、本人も周囲も気づきにくい。

急性期には幻覚や妄想などの陽性症状があり、休息期には感情表現が乏しくなって、無気力な状態になる。
この時期に急性期に逆戻りすることもある。
そして、治療によって症状が少しずつ治まり、回復していく。

<強迫性障害>
ある不安(強迫観念)に駆られ、それを打ち消すために決まった行為(強迫行為)を繰り返さずにはいられない心の病気です。
強迫観念となる不安には、次のようなものがあります。

●戸締りやガスの元栓を閉めたかなど不安になり、何度も確認する。
●仕事でミスをするのではないかと何度も確認せずにはいられない。
●不潔恐怖があり、手や身体を洗い続ける。
●常に整理整頓していないと落ち着かない。
●自分の決めた手順で物事を行わないと気がすまない。
●人に危害を加えてしまうのではないかと不安になる。駅のホームで人を突き落としてしまうのではと感じるなど。
●物の数や回数を数えないと気がすまない。

患者自身が、これらの強迫観念や強迫行為を無意味なものと認識していながらやめられないでいることが、この障害の特徴です。
そして、強迫行為を繰り返すために日常生活に支障が出るようになります。
また、家族にも戸締りを確認させたり、整理整頓を強要したりするなど、自分の強迫行為に周囲を巻き込み、疲れさせることもあります。

原因としては、次のようなことが挙げられます。

【遺伝・体質的な背景】
多少は遺伝も関係しているのではないかと考えられる。
特に未成年のうちに発症した場合は、遺伝の影響も大きいのではと見られることがある。

【心理・社会的な要因】
仕事や学校、家庭でのストレス、自分の健康に関するストレス、結婚・妊娠・出産からのストレスなどがきっかけとなって発症することもある。
幼少期の虐待なども原因となることがある。

【脳・神経機能の関与】
セロトニンという神経伝達物質(脳内の神経細胞間の情報を伝達するもの)の調節異常からくるものもあると考えられる。

本人も強迫観念や強迫行為は意味のないことだと思っているため、周りに症状を悟られまいと一人で悩み続けることがあります。
仮に、意志の力で強迫行為を抑え込むことが出来たとしても、不安感情は逆に大きくなりますから、自分だけで回復を目指すのはかなり困難です。
症状に気付いたら、速やかに受診するようにしましょう。

治療法としては、まずは薬で不安をやわらげ、次に認知行動療法などの精神療法が実施されます。

強迫性障害の患者の多くにうつ病の症状が出ることがあります。
同居する家族がいる場合はサポートが望まれます。
一緒に医療機関を訪れるなどして、病気や治療方法についての理解を深めましょう。

心の病気になってしまうということは、誰にでも起こり得ることです。
本人がおかしいと感じること、周りの人がおかしいと感じること、そして周りの人が心の病気を十分に理解し、サポートしていくことが大切です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史