外出できない/無理にでかけるとパニックを起こす(症状で調べる心の病気-㉘)

症状

自分も周囲もおかしいと感じるとき、その症状によっては様々な「心の病気」が疑われます。
放っておくと症状はどんどん悪化し、結果的に治療が長引いてしまう結果にもなりますので、早めの受診が必要です。
症状で調べる心の病気』の28回目です。
皆様に、少しでもお役立て頂けたらと思います。

【外出できない/無理にでかけるとパニックを起こす】
外出を拒むおもな要因は「不安」と「恐怖」です。
両者は密接に関連し、複合要因となることや、うつ病アルコール依存を併発することも少なくありません。

不安が要因となって現れる外出拒否は、「パニック障害」や「不安性(回避性)パーソナリティ障害」などで見られます。

一方、恐怖が要因となる外出拒否は、「広場恐怖(症)」などで顕著に現れます。
広場恐怖とは、屋外や公共の場で孤立することを恐れ、そのような場所に出ることを避ける病態で、電車やバス、行列や混雑、一人での外出などが恐怖の対象となります。

パニック障害・恐怖症性不安障害・うつ病について、それぞれの更に詳しい症状としては、以下の様なものがあります。(●…精神症状/〇…身体症状)

<パニック障害>
突然、息苦しさを感じ、死んでしまうような気がする。
●突然不安感に襲われ、「このまま死んでしまうのではないか」と感じる
〇動悸 〇頻脈(心拍数が増加している状態) 〇息苦しさ、呼吸困難、過呼吸 〇胸の不快感 〇発汗 〇ふるえ 〇吐き気 〇めまい 〇手足のしびれ

パニック障害の最初の発作は、何の前触れもなく、突然起こります。
そして、死ぬかと思うほどの恐怖に襲われてパニック状態になり、救急車を呼んだり病院に駆け込んだりすることもしばしばです。
しかし、発作自体はたいてい30分以内に治まり、病院では、特に疾患も見つからずに帰されるのが普通です。

その後は比較的短期間で連続して発作が起こることがあります。
こうして発作を繰り返すうちに、ある特定の状況に結びついて発作が起こるようになります。
そのときの状況を感じて(予期して)、また発作が起こるのではないかという不安に襲われます。
つまり、不安が不安を呼ぶ悪循環で、このような状態を「予期不安」といいます。

この状態を放置すると、外出できなくなったり、抑うつ状態になったりします。

生涯有病率(一生のうちで病気にかかる割合)は1.5~3%で、女性に多く見られます。
精神的に安定した人にも起こり得ます。

『治療法』
まずは薬物によって不安感を軽減させる。
発作がなくなっても半年~1年は服薬する必要がある。
そのうえで、認知行動療法や曝露療法を用い、不安に対して過敏に反応しがちな思考パターンを変化させていく。
自律訓練法では、リラックスする方法を知る。

薬物療法…抗不安薬、抗うつ薬、βブロッカーなど
精神療法…認知行動療法、曝露療法、自律訓練法など

パニック発作が繰り返し起きるようになり、日常生活に支障が生じると「障害」とみなされます。

また、パニック障害の一症状として、「過換気(過呼吸)症候群」と呼ぶ過呼吸発作が見られることもあります。過剰に呼吸するため、血中の酸素濃度が高まり、口の周りや両手の指がしびれ、ぼーっとして意識が遠のくような感覚に陥ります。

このような場合にも受診が勧められます。

『本人や周囲が気をつけること』
パニック発作は一過性の調節障害で、死ぬことは絶対にありません。
発作が起こっても慌てずに、気を静め、ゆっくり呼吸するようにします。
息ができないと感じたら、息を吐き出すほうに意識を集中しましょう。

薬を処方されたら、指示どおり薬を飲むことが大切です。
発作が起こったら、家族は患者を静かに休める場所へ移動させます。
外出時には、付き添うなどの協力をしましょう。

<恐怖症性不安障害>
特定の状況やもの、行動が怖くてたまらない

対象のはっきりしない漠然とした恐れの感情を不安といいます。
さまざまなストレスにさらされる現代社会においては、誰もが常に何らかの不安を感じながら生きていくことになります。

しかし、こうしたストレスのなかでも、特定の対象に対して強い恐れの感情を抱く場合、恐怖症性不安障害として区別します。

恐怖症性不安障害には、他人から注目される状況を恐れる社交不安症や、大勢の人が集まる場所に恐怖を感じる広場恐怖症がありますが、ほかにも高所や閉所、動物や昆虫、ヘビ、けが、血液、注射、嵐、暗闇、刃物、先が尖ったものなど、特定のものに対して恐怖を抱く場合もあります。

『社交不安症(SAD)』
会議やイベントなど、他人から注目されるような状況や場面に強い恐怖や不安を抱きます。
自分の行動や言葉の不適切さ、身体的欠陥(思い込み)などのために、人々から注視されたり、不快な反応を引き出してしまうのではないかということに恐怖を感じてしまうのです。

『広場恐怖症』
繁華街や混雑した店、公共交通機関(列車・バス・飛行機など)、広い場所、歯医者・美容院など身動きしにくい状況、大勢の人が集う場所に恐怖を感じます。
症状が激しい場合は、そうした状況やものを避けるため、家にひきこもるようになります。

<うつ病>
強く長いストレスにさらされたときにかかることがある。
●気分が落ち込む ●日ごろ興味や喜びを感じていたものに気持ちが向かない ●行動するのも考えるのも面倒でおっくう、疲れを感じやすい ●集中力や注意力の低下 ●自信喪失 ●自責の念や無価値観 ●将来を悲観的にとらえる ●自傷行為(自分を傷つける)をしたり、自殺を考えたりする
〇不眠 〇食欲低下、体重減少 〇性欲の減退 〇疲れやすい体質(易疲労性=身体をあまり使っていないのに疲れを感じる)

『原因』
うつ病の原因は、まだはっきり解明されていない。
かかりやすい体質は遺伝しやすいが、ストレスなどからくる環境要因の影響が大きいと考えられる。
ストレスとなる日常の出来事(昇進、退職、転居、過労、死別、離婚、出産など)がきっかけとなって発症するケースが多いといえる。

しかし、環境要因が見当たらなくても発症することもある。
うつ状態になると、脳内のセロトニンノルアドレナリンなどの神経伝達物質(脳内の神経細胞間の情報を伝達するもの)の働きが低下していると考えられている。

うつ病にかかる前の性格として、几帳面、凝り性、完璧主義、仕事熱心、勤勉で責任感が強い、周囲の人に気をつかう、悲観的、自己愛が強い、などが挙げられる。
日本におけるうつ病の生涯有病率(一生のうちで病気にかかる割合)は6.6%(平成18年度世界精神保健調査データより)で、およそ15人に1人がうつ病を経験していることになる。

『治療法』
なるべく早い段階で心身を休めることが、すみやかな回復へとつながる。
会社であれば、医師に診断書を書いてもらい、会社を休むなど。
主婦であれば家事を家族と分担したり、多少の手抜きをするなどして、療養をとる。
そのうえで、薬物療法と精神療法が併用される。

自宅で休養が困難であったり、自殺が懸念されるなどの重症な場合には、入院治療が必要となる。

薬物療法…抗うつ薬、その他
精神療法…認知行動療法、支持的精神療法、対人関係療法など

心の病気になってしまうということは、誰にでも起こり得ることです。
本人がおかしいと感じること、周りの人がおかしいと感じること、そして周りの人が心の病気を十分に理解し、サポートしていくことが大切です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史