出社できない/会社をたびたび休む(症状で調べる心の病気-㉗)

症状

『症状で調べる心の病気』ですが、自分で何かおかしいと感じるとき、周囲からみておかしいと感じるとき、と続けて掲載して参りました。
今回より、自分も周囲もおかしいと感じるとき、と題して掲載していきます。

自分も周囲もおかしいと感じるとき、その症状によっては様々な「心の病気」が疑われます。
放っておくと症状はどんどん悪化し、結果的に治療が長引いてしまう結果にもなりますので、早めの受診が必要です。
症状で調べる心の病気』の27回目です。
皆様に、少しでもお役立て頂けたらと思います。

【出社できない/会社をたびたび休む】
病気でもないのに、会社に行こうと思っても行けなくなるのが出社(出勤)困難です。
意欲の低下、集中困難、不安感、緊張感といった心理面の不調が顕著に現れ、パニック障害を併発することもあります。
出勤前に限り、激しい頭痛や腹痛、動悸、息切れなどが現れることも珍しくありません。

原因として、仕事上のストレス、上司や仲間との人間関係の不安、うつ状態などが考えられます。
出勤前に何かしらの体調不良が現れるのは、典型的な出社困難の症状なので、早めに専門医に相談したほうがよいでしょう。

この症状から考えられる病気としては、うつ病・適応障害・パニック障害などが疑われます。
それぞれの更に詳しい症状としては、以下の様なものがあります。(●…精神症状/〇…身体症状)

<うつ病>
強く長いストレスにさらされたときにかかることがある。
●気分が落ち込む ●日ごろ興味や喜びを感じていたものに気持ちが向かない ●行動するのも考えるのも面倒でおっくう、疲れを感じやすい ●集中力や注意力の低下 ●自信喪失 ●自責の念や無価値観 ●将来を悲観的にとらえる ●自傷行為(自分を傷つける)をしたり、自殺を考えたりする
〇不眠 〇食欲低下、体重減少 〇性欲の減退 〇疲れやすい体質(易疲労性=身体をあまり使っていないのに疲れを感じる)

『原因』
うつ病の原因は、まだはっきり解明されていない。
かかりやすい体質は遺伝しやすいが、ストレスなどからくる環境要因の影響が大きいと考えられる。
ストレスとなる日常の出来事(昇進、退職、転居、過労、死別、離婚、出産など)がきっかけとなって発症するケースが多いといえる。

しかし、環境要因が見当たらなくても発症することもある。
うつ状態になると、脳内のセロトニンノルアドレナリンなどの神経伝達物質(脳内の神経細胞間の情報を伝達するもの)の働きが低下していると考えられている。

うつ病にかかる前の性格として、几帳面、凝り性、完璧主義、仕事熱心、勤勉で責任感が強い、周囲の人に気をつかう、悲観的、自己愛が強い、などが挙げられる。
日本におけるうつ病の生涯有病率(一生のうちで病気にかかる割合)は6.6%(平成18年度世界精神保健調査データより)で、およそ15人に1人がうつ病を経験していることになる。

『治療法』
なるべく早い段階で心身を休めることが、すみやかな回復へとつながる。
会社であれば、医師に診断書を書いてもらい、会社を休むなど。
主婦であれば家事を家族と分担したり、多少の手抜きをするなどして、療養をとる。
そのうえで、薬物療法と精神療法が併用される。

自宅で休養が困難であったり、自殺が懸念されるなどの重症な場合には、入院治療が必要となる。

薬物療法…抗うつ薬、その他
精神療法…認知行動療法、支持的精神療法、対人関係療法など

<適応障害>
適応障害とは、ストレスとなる様な出来事に上手く馴染めず、心や身体に様々な症状が現れ、社会生活に支障が出る心の病気です。
●憂うつ感 ●気分の落ち込み ●絶望感 ●不安感や焦り ●恐怖感 ●感情がコントロール出来ない ●神経質になる ●引きこもりがちになる。学校や仕事に行きたくなくなる 〇動悸 〇発汗 〇めまい 〇不眠 〇肩こり 〇疲労感 〇食欲不振 〇やせ(体重減少)

この場合のストレスとは、大災害などの「非日常的な」出来事ではなく、進学や就職、退職、職場環境の変化、親元からの自立、結婚、離婚、死別など、日常生活で一般的に起こり得る環境の変化です。

通常、人はこうしたストレスとどうにか折り合いをつけて対応していきます。
ところが、ストレスが過剰であったり、耐えきれない負荷がかかると、適応障害という形でSOSのサインを出す事になります。

うつ病や全般性不安障害などと混同されがちですが、適応障害はストレスの原因がはっきりと指摘出来る時に診断されます。
また、これらの精神疾患の基準を満たしていない、あるいはこれらの疾患の単なる悪化でもないという条件に当てはまった時に診断されます。
つまり、うつ病や全般性不安障害などの診断基準を満たす場合は、その診断が優先されます。

ストレスの要因として自覚している出来事があっても、その悩みや苦しみが病的なものか、正常の範囲内か、自分では判断しにくいものです。
一人で苦しみ、もがいていても、病院へはなかなか足が向かないかもしれません。
いつか元通りになる事を待つよりも、迷うなら受診してみる事をお勧めします。

『薬物療法』
抗不安薬、抗うつ薬、抗精神薬など
『精神療法』
ストレスの要因となっている環境から離れる事が第一。
それが難しい場合は、認知行動療法によりストレスに対する適応力を高める事もある。
同じストレスを抱える人(例えば退職者同士など)と一緒に行う集団面接も効果がある。

自分に合った診療機関を探し、治療を始める事で自分なりのペースを取り戻せる可能性があります。
あるいは、信頼している人に気にかかっている事を話してみましょう。
新しい見方が出来る様になれば、ストレスの度合いも変わってくるかもしれません。

周囲の人は本人の悩みや苦しみに気付いてあげる事が大切。
その上で相談にのるなどサポートしましょう。
また、少しでも休養出来る様な環境づくりを心がけます。
短時間での回復は難しいので、長い目で見守りましょう。

<パニック障害>
突然、息苦しさを感じ、死んでしまうような気がする。
●突然不安感に襲われ、「このまま死んでしまうのではないか」と感じる
〇動悸 〇頻脈(心拍数が増加している状態) 〇息苦しさ、呼吸困難、過呼吸 〇胸の不快感 〇発汗 〇ふるえ 〇吐き気 〇めまい 〇手足のしびれ

パニック障害の最初の発作は、何の前触れもなく、突然起こります。
そして、死ぬかと思うほどの恐怖に襲われてパニック状態になり、救急車を呼んだり病院に駆け込んだりすることもしばしばです。
しかし、発作自体はたいてい30分以内に治まり、病院では、特に疾患も見つからずに帰されるのが普通です。

その後は比較的短期間で連続して発作が起こることがあります。
こうして発作を繰り返すうちに、ある特定の状況に結びついて発作が起こるようになります。
そのときの状況を感じて(予期して)、また発作が起こるのではないかという不安に襲われます。
つまり、不安が不安を呼ぶ悪循環で、このような状態を「予期不安」といいます。

この状態を放置すると、外出できなくなったり、抑うつ状態になったりします。

生涯有病率(一生のうちで病気にかかる割合)は1.5~3%で、女性に多く見られます。
精神的に安定した人にも起こり得ます。

『治療法』
まずは薬物によって不安感を軽減させる。
発作がなくなっても半年~1年は服薬する必要がある。
そのうえで、認知行動療法や曝露療法を用い、不安に対して過敏に反応しがちな思考パターンを変化させていく。
自律訓練法では、リラックスする方法を知る。

薬物療法…抗不安薬、抗うつ薬、βブロッカーなど
精神療法…認知行動療法、曝露療法、自律訓練法など

パニック発作が繰り返し起きるようになり、日常生活に支障が生じると「障害」とみなされます。

また、パニック障害の一症状として、「過換気(過呼吸)症候群」と呼ぶ過呼吸発作が見られることもあります。過剰に呼吸するため、血中の酸素濃度が高まり、口の周りや両手の指がしびれ、ぼーっとして意識が遠のくような感覚に陥ります。

このような場合にも受診が勧められます。

『本人や周囲が気をつけること』
パニック発作は一過性の調節障害で、死ぬことは絶対にありません。
発作が起こっても慌てずに、気を静め、ゆっくり呼吸するようにします。
息ができないと感じたら、息を吐き出すほうに意識を集中しましょう。

薬を処方されたら、指示どおり薬を飲むことが大切です。
発作が起こったら、家族は患者を静かに休める場所へ移動させます。
外出時には、付き添うなどの協力をしましょう。

心の病気になってしまうということは、誰にでも起こり得ることです。
本人がおかしいと感じること、周りの人がおかしいと感じること、そして周りの人が心の病気を十分に理解し、サポートしていくことが大切です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

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