多重人格のようだ/人が変わったようになる(症状で調べる心の病気-㉕)

症状

周囲から見ておかしいと感じるとき、その症状によっては様々な「心の病気」が疑われます。
放っておくと症状はどんどん悪化し、結果的に治療が長引いてしまう結果にもなりますので、早めの受診が必要です。
症状で調べる心の病気』の25回目です。
皆様に、少しでもお役立て頂けたらと思います。

【多重人格のようだ/人が変わったようになる】
気分や感情の変化が激しく、周囲の人たちからは人が変わったように見えてしまうのは、心の病気では珍しいことではありません。
躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障害(躁うつ病)や、気分変動の激しい情緒不安定性(境界性)パーソナリティ障害などが、その例です。

1人のなかに、明らかに異なる2つ以上の人格が認められるときは、解離性障害(多重人格障害)が疑われます。
解離性障害では「ある時点ではA」「次の時点ではB」というように、異なる人格が交代しながら反復的に現れます。
人格ごとの記憶が共有されることは少なく、記憶の欠落が顕著で、日常生活にも支障をきたしてしまいます。
この障害の背景には、過去のつらい心的外傷があると考えられています。

双極性障害(躁うつ病)・情緒不安定性パーソナリティ障害・解離性障害について、それぞれの詳しい症状としては、以下の様なものがあります。(●…精神症状/〇…身体症状)

<双極性障害(躁うつ病)>
気分が落ち込み、活動量が減少する「うつ病」と、気分が高ぶり、活動量が増大する「躁病」が繰り返される障害です。
症状は、ある日突然切り替わることもありますが、症状が落ち着いている期間を経てから切り替わることが多いといえます。

うつの状態は一般的に数か月から1年、躁の状態は1~2か月持続します。
双極性障害は、発症当初はうつの状態であることが多く、双極性のうつの病状と単極性うつ病では同じ症状を示すため、症状だけからこの2つを区別することはできません。
躁の状態が現れて、初めて双極性障害だと認められます。

●元気いっぱいで、多弁になる。疲れ知らずで、さまざまな行動をし続ける。本人はエネルギーに満ちていると感じている ●はじめは陽気で幸福感に浸っているが、次第に怒りっぽくなることもある ●自信過剰で誇大妄想的なことを口にし、傍若無人にふるまう。他人を見下すような態度になることもある ●考えが次々に湧いて、まとまらない ●大声で早口に、脈絡のない話し方をする ●判断力がなくなり、金銭的な問題行動(ギャンブル、不適切な投資、浪費など)に走ったり、性的なトラブルを起こしたりする
〇睡眠時間が少なくなる 〇性欲が強くなる

躁病とうつ病のどちらの状態にあっても、本人は苦しく感じており、社会生活でさまざまな困難が生じやすくなります。
症状がはっきり出てくる前に、何らかの兆候に気づき(うつ病の兆候としては、朝の目覚めが悪い、飲酒量が増えるなど)、早期の受診が望まれます。

ストレスは再発のきっかけになることがあります。
疲れを感じたら、休息をとるように心がけましょう。

<情緒不安定性パーソナリティ障害>
感情が不安定で、衝動的

衝動型
自分をコントロールできない
●感情が常に不安定。
●結果を考えず、衝動的に行動する。
●非難されたり、邪魔されたりすると、突然激しく怒り出し、暴力を振るうこともある。

境界型
対人関係や社会生活への不安(境界性パーソナリティー障害)
衝動型の特徴に、以下の特徴も加わる。
●自分がどんな人間で、何を目指し、何を欲しているのかわからず、混乱し続けている。
●絶えず、空虚感がある。
●他人に対しては、理想化したかと思えば、急に幻滅して攻撃したり、目まぐるしく感情が変化する。
●感情的に常に危機的状態にあり、万引きや自傷行為を繰り返したり、自殺を企てたりする。
家族や周囲への依存が強い。
●「見捨てられた不安」があり、絶望的な気持ちになる。
●「よい自分」と「悪い自分」が気分によって入れ替わり、周囲を戸惑わせる。

『経過』
・治療は「衝動型」と「境界型」を分けて考える。
・「衝動型」は、自分の性質を把握することから始め、暴走を止めるよう社会的スキルを重ねていく。
「境界型」は、まずは危険性の高い衝動行為を抑えることを優先し、次に偏った考え方を正したり、コミュニケーション力を身につけていくような治療を進める。

『配慮点』
・家族はたとえ治療期間が長くかかっても、再発したとしても、焦らずに愛情深く回復を待つことが大事。
・通院が終了しても、同じ病気の者同士の集まりに参加して話し合うなど、社会とのつながりをもつことが大切。

<解離性障害>
耐えがたいストレスを受けたとき、自我(アイデンティティ)をバラバラにすることで自己防衛する
●自分の過去のある部分(数時間~数日間)が思い出せなくなる ●自分の名前、職業、家族などの記憶を失い、家庭や職場から失踪してしまう ●自分を外から眺めているような感覚が生じる ●2つ以上の人格が出てくる
〇身体が硬くなって、手足などが動かせなくなる 〇寝たきり状態になり、言葉を交わしたりできなくなる

おもな原因はストレスと心的外傷と考えられている。
幼児期から学童期に強い精神的ストレス(両親の不仲や虐待、いじめなど)を受けていた、あるいは、現在配偶者から暴力を受けている、といった背景が挙げられる。
こうした人が、犯罪や災害など、心に大きな傷を負うような出来事や解決が困難なつらい状況、対人関係の深刻な問題などが起こったときに、発症しやすいと考えられている。

心の病気になってしまうということは、誰にでも起こり得ることです。
本人がおかしいと感じること、周りの人がおかしいと感じること、そして周りの人が心の病気を十分に理解し、サポートしていくことが大切です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史