心の病気と精神療法について

メンタルケア

精神療法は、心理的側面から心の病気の回復を図る治療法の総称です。
向精神薬による薬物療法や、緊急時や重症患者などに用いられる電気けいれん療法とともに、心の病気の治療を支える重要な治療法の一つです。

精神療法には、個人精神療法集団精神療法があります。

【3つの柱】
さまざまな流派を加えれば、世界中で数百を超す精神療法があるといわれています。
そして、そのいずれにも共通するのが、患者と治療者との間に良好な「信頼関係」が築かれ、固い「共感」や「治療目的の共有・協力」という3つの柱が結ばれないと、その治療はうまくいかないということです。

患者と治療者が互いに意思疎通を図るには、言葉でのやりとりはもちろんのこと、患者のしぐさや表情などから、治療者がその真意をしっかりとくみ取り、読み解いていくことも重要なのです。

信頼関係の構築(治療同盟)
■「この人だったら一緒にやっていける」と、患者が治療者を信頼できること。
■「好意」「いたわり」「敬意」といった情緒的な感情を、患者と治療者が共有できること。
■治療目的とその方針をお互いに共有できること。
■お互いに責任を自覚したうえで、積極的に治療に臨むこと(パートナー感覚の構築)。

共感
■治療者が患者の体験を理解し、その気持ちが患者にも伝わること。
■患者と同じような気持ちになれること(情緒的共感)。
■患者の立場になって、治療者がその気持ちや考えを理解できること(認知的共感)。
■患者の行動の意図を理解し、治療者がそれを言葉にして患者に伝えられること(行動的共感)。

治療目的の共有・協力
■患者の苦痛や悩み(困りごと)の確認と、それをどのようにしたいのか、治療目標を話し合う。
■治療目標のために、できることを互いに確認する。
■問診、診断の見立て、治療計画の説明などを通じて、お互いの理解と意向を共有し、一致させる。

精神療法による治療は、医師のほか、心理カウンセラーが行います。
心理カウンセラーが行う精神療法は、心理療法と呼ばれるケースが大半ですが、内容はほぼ同じものです。

【技法による4分類】
精神療法はその技法の特徴により、傾聴・共感・支持を柱とする「支持的精神療法」、患者の感情を解放する「表現的精神療法」、精神分析的アプローチによる「洞察的精神療法」、社会復帰を支援する「訓練療法」の4つに大きく分類できます。

【認知に働きかける認知行動療法】
おもな精神療法のなかでも、実施している医療機関が多く、全国的に受診しやすいのは、認知のバランスを正し、社会復帰に向けたさまざまな訓練を行う「認知行動療法」です。

認知行動療法は、認知療法行動療法の理論に基づくさまざまな技法が集まって、総合的に発展してきた、化学的根拠(エビデンス)の高い精神療法のひとつです。

【認知療法の進め方】
認知療法や認知行動療法は、ものの受け止め方や考え方などを、現実にそった柔軟でバランスのとれたものに変えていくことで、ストレスをやわらげるものです。

自分が何をストレスと感じているのかに気づき、そのときの考え方がどのように自分に影響しているのかを見つめることによって、ふだん陥りがちな思考(認知)のパターンを変えていくのです。

ここで大切なのは、否定的・消極的な思考を肯定的・積極的な思考に変えていくのではなく、ものごとにはさまざまな捉え方があることを知るということです。

自分が抱く否定的な見方よりももっと現実にそった見方があることに気づくように、やわらかく物事を受け止められるような練習を繰り返していきます。
認知療法による改善のためには、日常生活においても継続的に練習や訓練を行うことが必要となります。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史