話の筋が通らない/うまくものが言えない(症状で調べる心の病気-⑱)

症状

周囲から見ておかしいと感じるとき、その症状によっては様々な「心の病気」が疑われます。
放っておくと症状はどんどん悪化し、結果的に治療が長引いてしまう結果にもなりますので、早めの受診が必要です。
症状で調べる心の病気』の18回目です。
皆様に、少しでもお役立て頂けたらと思います。

【話の筋が通らない/うまくものが言えない】
言語障害は症状により、言語の理解やその表現力が低下・消失する言語機能障害と、声や発音(構音)、話し方に問題の出る構音障害などに大別されます。

その原因となる疾患はさまざまです。
意識障害や認知機能の低下、統合失調症、双極性障害(躁うつ病)などでも言語障害は起こり得ます。
知的障害(精神遅滞)やある種の発達障害では、言語機能障害(言語発達遅滞)が見られます。

脳の言語中枢(言語野)を傷つけ、言語機能障害を招く恐れのある脳卒中(脳梗塞、脳出血)では、発作時にはろれつが回らず、何を言っているのかわからないことが少なくありません。
また、脳卒中の後遺症として、言語障害や失語症が現れることもあります。

統合失調症・発達障害・知的障害(精神遅滞)・認知症について、それぞれの詳しい症状としては、以下の様なものがあります。(●…精神症状/〇…身体症状)

<統合失調症>
コミュニケーションが困難、幻覚や妄想が大きな特徴。

【陽性症状】
●ずっと監視されているなど、実際にはないことを確信する(妄想) ●幻覚の症状のひとつとして、誰もいないのに声が聞こえる、悪口を言われる、指図されるなどの幻聴が現れる ●考え方に一貫性がなくなったり、脈絡のない話をするなどの思考障害

【陰性症状】
●喜怒哀楽の感情表現が乏しくなるなど、感情の平板化 ●自分の世界に閉じこもり、周囲の人とコミュニケーションをとらなくなる(自閉) ●自分から何かをしようとする意欲の低下 ●集中力が続かない

【認知機能の障害】
●記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断などの能力に支障をきたす

<発達障害>
心身の発達に問題がないにもかかわらず、行動や認知の面で、ある特定の領域に問題が見られる障害を発達障害といいます。
たとえば、対人関係が苦手だったり、特定のものへのこだわりが強かったり、極端に不器用だったりします。

発達障害のおもなものとしては自閉症アスペルガー症候群学習障害などがあります。
程度の差はありますが、いくつかの症状が重複して存在することも珍しくありません。
それらの特性は成長過程で明らかになってきます。

発達障害はなぜ起こるのか、その原因ははっきりとは解明されていませんが、遺伝子の異常が関係していることはわかっています。
また、中枢神経系に器質的な障害(組織のどこかが損傷を受ける)があり、それにより認知機能に偏りが生じて、発達障害特有の状態・行動(特性)が現れると考えられています。

発達障害の特徴は幼少期から現れてきます。
現れ方は人によってさまざまで、特徴が強く現れ、幼少期の早いうちに気づく場合がある一方、時には周囲から「少し変わった子だな」などと受け取られる程度で、そのまま成長することもあります。

障害は成長しても残りますが、症状は成長するにつれて軽快していくことも多く見られます。

文部科学省が発表した2012年の調査では、全国の公立小中学校の通常学級には発達障害(自閉症、学習障害、多動性障害=ADHD)のある児童生徒が6.5%在籍している可能性があることがわかりました。
この数字は現在ではさらに増えていると予測されます。

一般に発達障害のある子どもは、その障害の特性から、勉強や友人関係など、学校生活で困難をきたすことが少なくありません。
もし子どもの行動や言動などで気になることがあれば、不登校など二次被害を防ぐためにも、早めの対応が必要です。

保育士や教師にアドバイスをもらったり、専門の医師や臨床心理士に相談するなどして、子どもの特性にあったサポートを受けることが大切です。

<知的障害(精神遅滞)>
幼少期から知能の発達が遅れる。
●発語が遅れる、目を合わせない、名前を呼んでも反応しないなど(幼児期) ●物事を理解するのに時間がかかる ●推測したり、応用することが難しい ●初めてのことや変化が苦手 ●対人関係など、社会生活にうまく適合できず、イライラしたり、不安になったりする ●失敗や周囲からのたび重なる注意によって、自信を喪失したり、意欲を失ったりする ●自分で判断することができず、人に頼りがちになる
〇首の座りが遅い(幼児期) 〇全体に動作が遅かったり、手先が不器用だったりする(重度の場合は身体を動かせないケースもある) 〇食事、排泄、着替えなど、身の回りのことを行えるようになるまで時間がかかる 〇他の疾患(てんかんや身体障害など)を合併しているケースが多い

<認知症>
認知症は、脳の細胞が壊れ、その機能が失われていく病気ですが、症状は、その脳細胞が果たしていた役割が失われる「中核症状」と、中核症状から二次的に引き起こされる「周辺症状」に分けられます。

中核症状
●体験そのものを思い出せなくなる ●判断力が低下する(料理の手順がわからなくなる、片付けられなくなるなど)●季節感がわからなくなる ●アナログ時計が読めなくなる ●物事を計画的に実行できなくなる ●言葉がうまく使えなくなる ●文字を書くことが難しくなる ●言葉の意味を理解できなくなる ●五感が鈍くなる ●自分がいる場所がわからなくなる ●家族の顔がわからなくなる

周辺症状
●不安、抑うつ状態 ●物盗まれ妄想 ●徘徊 ●せん妄 ●幻覚・錯覚 ●暴力・暴言 ●介護拒否 ●失禁 ●不眠、睡眠障害、昼夜逆転 ●帰宅願望 ●異食(食べられないものを食べようとするなど)●弄便(大便をつかんだり、壁などにすりつけたりする

心の病気になってしまうということは、誰にでも起こり得ることです。
本人がおかしいと感じること、周りの人がおかしいと感じること、そして周りの人が心の病気を十分に理解し、サポートしていくことが大切です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史