場所や時間、人などがわからない(症状で調べる心の病気-⑯)

症状

周囲から見ておかしいと感じるとき、その症状によっては様々な「心の病気」が疑われます。
放っておくと症状はどんどん悪化し、結果的に治療が長引いてしまう結果にもなりますので、早めの受診が必要です。
症状で調べる心の病気』の16回目です。
皆様に、少しでもお役立て頂けたらと思います。

【場所や時間、人などがわからない】
意識とは、周囲や自分自身の状況がしっかり理解できている状態のことです。
意識障害が起きているかどうかは、呼びかけや外側からの刺激への反応で判断します。

意識障害ではその覚醒度とともに、意識の質的変化にも気をつけます。
意識のはっきりしない「意識混濁」に、幻覚や妄想などの異常な感覚が加わった「せん妄」、混濁度は低いものの周りの状況が理解できず、興奮状態となり、会話や行動にまとまりのない「アメンチア」(急性幻覚性錯乱症)などは、精神科の対象となります。

なお、場所や人、時間などがわからなくなる見当識障害は、意識障害のほか、脳の障害による記憶障害認知機能の低下(認知症)知能の低下などでも起こります。

認知症・せん妄・意識障害について、それぞれの詳しい症状としては、以下の様なものがあります。(●…精神症状/〇…身体症状)

<認知症>
認知症は、脳の細胞が壊れ、その機能が失われていく病気ですが、症状は、その脳細胞が果たしていた役割が失われる「中核症状」と、中核症状から二次的に引き起こされる「周辺症状」に分けられます。

中核症状
●体験そのものを思い出せなくなる ●判断力が低下する(料理の手順がわからなくなる、片付けられなくなるなど)●季節感がわからなくなる ●アナログ時計が読めなくなる ●物事を計画的に実行できなくなる ●言葉がうまく使えなくなる ●文字を書くことが難しくなる ●言葉の意味を理解できなくなる ●五感が鈍くなる ●自分がいる場所がわからなくなる ●家族の顔がわからなくなる

周辺症状
●不安、抑うつ状態 ●物盗まれ妄想 ●徘徊 ●せん妄 ●幻覚・錯覚 ●暴力・暴言 ●介護拒否 ●失禁 ●不眠、睡眠障害、昼夜逆転 ●帰宅願望 ●異食(食べられないものを食べようとするなど)●弄便(大便をつかんだり、壁などにすりつけたりする

<せん妄>
脳の病気だけでなく、全身の病気からも起こる意識障害
何らかの原因により脳の機能が低下し、意識障害を起こし、混乱している状態を「せん妄」といいます。
興奮して大声で叫んだり、幻視・幻覚を見たり、時には暴力を振るうなど、異常な行動や言動が見られます。

症状の程度は軽いものから重いものまでさまざまで、認知症を併発したり、あるいは認知症に先行して起こったりします。
どの年代にも起こり得ますが、特に高齢者に多く見られます。

●妄想が起こる ●実際にはいない虫や動物、人が見える(幻視・幻覚) ●時間や場所が急にわからなくなる(見当識障害) ●最近のことが思い出せない(記憶障害) ●興奮して叫んだり、暴力を振るうことがある ●環境が変化するとストレスがたまる ●集中できなくなる ●計算力や判断力が低下する ●状況がわからず不安になる
〇昼夜が逆転したり、不眠になったりする(睡眠-覚醒リズムの障害) 〇起きているときも寝ぼけている 〇手などがふるえることがある 〇表情が乏しくなり、活発さに欠けてくる

<意識障害>
意識とは、五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)からの刺激が脳に伝えられ、そこに思考や感情などの働きが加わって、自分の今の状況や、自分が今何をすべきなのかといったことをはっきり認識できる状態のことです。

ところが、脳やその他の部位が病気や中毒などによって冒されると、意識障害が起きることがあります。
たとえば、急性の場合は意識が曇ったような状態(意識混濁=もうろう状態)になります。
意識が混濁すると、失見当識状態やせん妄状態になることもあります。
意識障害が重度になると、昏睡状態となります。

こうした意識障害では記憶においても異常が発生するため、意識障害が起きている間のことは思い出せないのが特徴です。

心の病気になってしまうということは、誰にでも起こり得ることです。
本人がおかしいと感じること、周りの人がおかしいと感じること、そして周りの人が心の病気を十分に理解し、サポートしていくことが大切です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史