実際にないものが見えたり、聞こえたりする(症状で調べる心の病気-⑬)

症状

周囲から見ておかしいと感じるとき、その症状によっては様々な「心の病気」が疑われます。
放っておくと症状はどんどん悪化し、結果的に治療が長引いてしまう結果にもなりますので、早めの受診が必要です。
症状で調べる心の病気』の13回目です。
今回より、「周囲から見ておかしいと感じるとき」と題してお話させて頂きます。
皆様に、少しでもお役立て頂けたらと思います。

【実際にないものが見えたり、聞こえたりする】
現実には存在しないのに、あたかも存在するかのように感覚器官が感じてしまうことを「幻覚」といいます。
実際にはない音や声が聞こえる「幻聴」、実在しないものが見える「幻視」のほか、その対象がないのに不快な臭いを感じる「幻臭」、実際には味がないのに味の異常さを訴える「幻味」、触れていないのに触れられたように感じる「幻触」、異常がないのに「皮下を虫がはっている」というような身体の奇妙な違和感を訴える「体感幻覚」があります。

幻覚では脳の疾患のほか、統合失調症心的外傷後ストレス障害(PTSD)アルコールや薬物への依存などが疑われます。

統合失調症・薬物による障害・器質性精神障害について、それぞれの詳しい症状としては、以下の様なものがあります。(●…精神症状/〇…身体症状)

<統合失調症>
コミュニケーションが困難、幻覚や妄想が大きな特徴。

【陽性症状】
●ずっと監視されているなど、実際にはないことを確信する(妄想) ●幻覚の症状のひとつとして、誰もいないのに声が聞こえる、悪口を言われる、指図されるなどの幻聴が現れる ●考え方に一貫性がなくなったり、脈絡のない話をするなどの思考障害

【陰性症状】
●喜怒哀楽の感情表現が乏しくなるなど、感情の平板化 ●自分の世界に閉じこもり、周囲の人とコミュニケーションをとらなくなる(自閉) ●自分から何かをしようとする意欲の低下 ●集中力が続かない

【認知機能の障害】
●記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断などの能力に支障をきたす

<薬物による障害>
一回だけのはずが、深みにはまっていく。
●薬物の有害な使用により、一時的な陶酔感、酩酊感などを得るが、疲労感や不安感、知覚異常、意欲の減退、無気力、抑うつなどの障害が生じる ●幻覚や妄想、強迫観念などが生じる ●離脱症状として睡眠障害、抑うつ、不安、焦りなどが生じる ●薬物の摂取がほかの何よりも優先される ●薬物の効果が切れると、使いたいという欲求が猛烈に湧いてくる ●薬物の量をコントロールできなくなる ●薬物の使用を中止すると、不快な症状が現れる ●薬物を何としても手に入れようと犯罪に手を染めることもある
〇脳・心臓血管障害 〇血圧、免疫機能の障害 〇筋肉や関節の痛み 〇けいれん発作 〇食欲の増進あるいは減退 〇嘔吐 〇下痢 〇異常な発汗 〇倦怠感

<器質性精神障害>
脳疾患や頭部外傷、脳以外の身体疾患などによって脳が二次的に障害を受けてその機能が低下し、何らかの精神症状を示すものです(器質性=臓器や組織の形態的異常に基づいている状態)。
つまり、脳に障害をもたらす疾患のすべてが原因となり得るため、発生する器質性精神障害も多岐にわたります。

神経変性疾患・脳血管障害・頭部外傷・頭蓋内占拠病変・感染症、炎症・膠原病、自己免疫疾患・代謝障害・ビタミン欠乏・内分泌性障害・中毒性障害・低酸素性障害・産褥期精神障害、術後精神障害、薬剤性精神障害

心の病気になってしまうということは、誰にでも起こり得ることです。
本人がおかしいと感じること、周りの人がおかしいと感じること、そして周りの人が心の病気を十分に理解し、サポートしていくことが大切です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史