統合失調症について/1.統合失調症の症状について知る【統合失調症の特徴的な症状】

心の病気

●本来ないはずのものがある「陽性症状」

統合失調症の特徴の一つは、神経のバランスがくずれ、精神面に障害があらわれる結果、日常生活を送ることが困難になり、「生きづらさ」を感じることです。

こうした「生きづらさ」の背景には、「陽性症状」と「陰性症状」の2つの基本的な症状があります。

陽性症状とは、本来ないはずのものがあるという意味で、「幻覚」や「妄想」などが代表的なものです。

統合失調症を引き起こす原因には、ドーパミンなどの脳の神経伝達物質の活動異常が深くかかわっているといわれます。
ドーパミンは、意欲、感情、記憶、体を動かす運動系統、食欲中枢といった大切な部分と深くかかわる物質で、陽性症状は、このドーパミン神経の活動が過剰に活発になることと関係していると考えられています。

●本来あるはずのものがない「陰性症状」

一方の陰性症状とは、本来あるはずのものがないという意味で、「感情が乏しくなる」「精神の柔軟性が失われる」「意欲が減退する」「集中力が低下する」といった症状がこれにあたります。
1日の大半をぼんやり座り込んで過ごす「無為・自閉」の状態になるケースも見られます。

同じ病気でありながら、陽性症状と陰性症状というまったく性質の異なる症状が同時にあらわれるというのは不思議に思えますが、これはドーパミン神経の活動異常が脳の部位によって異なることが原因と考えられます。

もう少し詳しく述べますと、ドーパミンによって情報を伝達している神経経路にはいくつかあり、それぞれに異なった機能を持っています。
その神経経路の一つである「中脳辺縁系」でドーパミンが過剰に放出されると、幻覚や妄想などの陽性症状が引き起こされ、逆に「中脳皮質系」の経路では、ドーパミンの機能低下が見られることがわかってきました。
それによって、「意欲減退」「感情鈍麻」「自閉傾向」などの陰性症状があらわれるとされています。

このように、統合失調症では、中脳辺縁系ではドーパミンの機能亢進が、中脳皮質系ではドーパミンの機能低下が引き起こされるために、陽性症状と陰性症状という、一見相反する症状が同時にあらわれると考えられるのです。

統合失調症では、病気の初期(急性期)には陽性症状が前面にあらわれ、長期になるにつれて(慢性化するにつれて)、陰性症状が目立ってくるという傾向が見られます。

●ほとんどの人に見られる「認知機能障害」

陽性症状や陰性症状と並んで、統合失調症の症状として注目されているのが、「認知機能障害」です。

認知機能とは、記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断といった知的な能力を指します。
健康な人の場合、無意識のうちにこの認知機能を働かせていますが、統合失調症になると、これらの基本的な認知機能が低下します。

認知機能が低下すると、仕事や勉強をはじめ、生活・社会活動全般に大きな支障をきたします。
ほとんどの統合失調症の患者さんが感じている「生きづらさ」は、実はこの認知機能障害や陰性症状のせいであることが多いのです。

認知機能障害は、陽性症状や陰性症状などの症状を示した患者さんのほとんどに見られます。
人によって、どの認知機能がどの程度障害されるかは異なりますが、医師の指導のもとで適切なリハビリテーション(認知機能リハビリテーション)を受けることが大切です。

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