つらい体験がなかなか癒えない心の傷をつくる
つらい体験によって引き起こされた心身の変調が自然に回復せず、長く続く場合には、「トラウマがある」と考えます。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)などと診断されることもあります。
●命にかかわらない体験でも、心の傷はできることがある
なにかたいへんな目にあったあと、急にそのときのことをまざまざと思い出したり、気が休まらなかったりするのは、ごく自然な反応です。
多くは時間とともに解消していきますが、心身の変化が戻らず、慢性的な症状として残り続けることがあります。
体験の内容と、体験後に現れた症状がある一定の基準に当てはまれば、PTSD、あるいは複雑性PTSDと診断されます。
ただ、「診断基準に当てはまらないから、トラウマはない」というわけでもないのです。
たとえば子ども時代の養育者との関係のなかで生じた傷は、PTSDや複雑性PTSDの診断の前提となる「命にかかわるような出来事」や、「非常に恐ろしい出来事」があったと特定できない、されないことも少なくありません。
けれど、それが影響を残し、現在の生きづらさにつながっているのであれば、そこにはやはりトラウマがあると考えられます。
■PTSDの診断基準
PTSD、あるいは複雑性PTSDと診断されるような状態であれば、トラウマがあることは明らかです。
診断に用いられる基準は主に2つあります。
DSMというアメリカ精神医学会による診断基準(最新版はDSM-5)と、WHOが定める国際疾病分類(最新版はICD-11)です。
いずれも「どのような目にあったか」「その後、どんな症状が現れたか」で診断していきます。
<PTSD>
DSM-5では、「死にそうになる、重傷を負う、性暴力を受ける」といった出来事を経験したり目撃したりした場合や、大切な人が経験したと知ったあとに生じた症状が、ある一定の基準に当てはまればPTSDと診断します。
ICD-11でも「非常に脅迫的で、恐ろしい出来事」のあとに発症する可能性があるものとしているので、ほぼ同様です。
<複雑性PTSD>
家庭内暴力や虐待など、逃れることが困難な状況のなかで日常的にくり返されてきた出来事によって生じたトラウマは、より複雑な症状を示します。
この状態をICD-11では「複雑性PTSD」と定めています。
ICD-11で初めて取り上げられた診断名で、DSM-5には掲載されていません。
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