摂食障害について/④家族がつくり出す悪循環から抜け出そう!【治療も本人のペースで進めてもらおう】

心の病気

●「ブレない」ことの重要性

ご家族の中には、摂食障害のいろいろな本を読み、いろいろな治療者の話を聞きにいく人も少なくありません。

もちろん、患者さんの病気を深刻に受け止め、知識を得ようとする態度は立派ですし、治療においては必要なことです。
しかし、それが患者さんの不安をあおることがあるということも覚えておいたほうがよいでしょう。

どういう場合かというと、ある日には〇〇という本をすすめたけれども、別の日には△△という本をすすめる、というような場合、患者さんはとても混乱してしまいます。

特に「拒食」がある人は、基本的に慎重で「石橋を叩いて渡る」タイプです。
まだ前の石橋を叩いているところなのに別の石橋を渡るようにいわれてしまうと、パニックになります。

摂食障害の治療全体に必要なことは、「拒食」であれ「過食」であれ、「自分のやり方で大丈夫」という感覚を身につけていってもらうことです。
そのためには多少の試行錯誤も必要です。
ある方針を決めたら、一定期間ブレずに続けて何らかの結論を得て、さらに続けるなり軌道修正するなりすればよいのです。
そんな積み重ねが、自信をつくっていきます。

その「方針」とは、対人関係療法や認知行動療法など、すでに効果がわかっているものがよいのはもちろんです。
いくらブレないからといって、患者さんにとって有害な方針を続けても、傷が深くなるだけでしょう。
有害だと思ったときには、なぜ有害だと思うかを説明して、ご本人がしばらく考えられるように時間を与えてください。

何事もご本人のペースで進めてもらうことが重要です。
家族のペースを押しつけてしまうと、「拒食」の人はますます遭難している感覚が強まり、不安が強まります。
「過食」の人は、家族の干渉に対してムッとしながらも、その気持ちを抑えてしまい、「過食」のエネルギーをため込んでしまいます。

●「治らなくてもよい」くらいの気持ちになろう

ご家族の中には、「あと何ヵ月で病気が落ち着くか」「大学を卒業するまでには何とかなるか」というようなことをしきりに気にする人たちがいます。

もちろん人生設計もあるわけですし、必要な準備もあるでしょうから、気になる気持ちはわかります。
しかし、「いつ治るか」ということばかりを気にすると、結局は「現状では家族としては困る」という意味になってしまい、「拒食」の患者さんをさらに心配させ、「過食」の患者さんは自分をさらに嫌いになります。

ご家族の感覚としては、「一生病気が治らなくてもよい」くらいに腹を据えていただくと、病気はずっと治りやすくなります。

もちろん「拒食」も「過食」もご本人にとってつらいことですから、治ったほうがよいのですが、ご家族としては「このままでも大丈夫」と開き直って頂くと、患者さんはありのままの姿を無条件に受け入れてもらったという安心感を得ることができます。
病気を治して初めて認めてもらえるというわけではなく、病気のままでも大丈夫だということです。
もちろん、「あなたは一生病気だからね」などと決めつけるようないい方はしないでください。
「いつかは治ると信じているけれども、それがいつになっても大丈夫。自分のペースで治ってね」と伝えてあげるとよいでしょう。
「このままでも大丈夫」といえるようになるためには、ご家族も変な無理はやめたほうがよいということになります。
「過食」のために経済的に苦しいのであれば、「自分のペースで治ってもらえるために、持続可能な形にしたい」と患者さんに相談すればよいでしょう。
経済的なテーマは患者さんの罪悪感を直撃しますので、できるだけ控えたほうがいいですし、話し合いをする場合にも「自分のペースで治ってもらうため」という趣旨を明確にする必要があります。
そのほか、ご家族だけで抱え込まないですむ問題は、活用できる資源をなんでも使って、胸を張って「このままでも大丈夫」といえる環境をつくれるように工夫しましょう。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

心理カウンセリングルーム ナチュラリー. では、「来訪・訪問カウンセリング」、及び、電話・ビデオ通話・メールによる「ネットカウンセリング」と、豊富なメニューを揃えております。
遠方の方におかれましても、どんなお悩みでも、どうぞお気軽にお問い合わせ下さいませ。

●来訪・訪問カウンセリング http://mental-naturally.com/visit/
●ネットカウンセリング   http://mental-naturally.com/internet/