●自分の「敷地」を守る
例えば、相手と親しくなったときに相手に振りまわされる、というのは、相手が自分の敷地にズカズカと入り込んでくるのを許すということです。
これでは自分の敷地は侵されてしまいますし、苦しくなるのは当然です。
摂食障害の人が、「ちょっとでも自分の気持ちを打ち明けると、相手がどんどん入り込んでくるのではないか」と感じるのは、まるで、自分の敷地の入り口は、少しでも開けるとコントロール不能なものになると感じているかのようなものです。
しかし実際には、ドアの開け方をコントロールしたり、入ってきた人に出ていってもらったりすることはできます。
ただし、自分の敷地なのですから、それができるのは自分だけです。
次回で述べるような「トラブルにつながらない話し方」を活用して、自分の境界線を守っていただきたいと思います。
ちょっと気持ちを打ち明けてみたところ、相手がアドバイスを押しつけてきた、というようなときには、「気にかけてくれてありがとう。今はちょっと余裕がないから、そのうち考えてみるね」とやわらかく「敷地」から出ていってもらうこともできます。
そのように、自分のペースで、相手との間のドアの開け閉めをコントロールできるようになると、対人関係において健康なコントロール感覚を持つことができ、「ちょっとでも気持ちを打ち明けると振りまわされるのではないか」という恐怖感からは脱することができます。
結果として、今よりも豊かな人間関係を持つことができるようになるでしょう。
●相手の「敷地」に入り込まない
もうひとつの、相手の問題を自分の問題としてとらえてしまう、という人ですが、これは相手の「敷地」に入り込んで何とかしようとしているケースです。
摂食障害の人は、もともとやさしく思いやりがある人が多いですし、生育過程で、実際に大人の感情的な世話役をしてきている人も多いですから、基本的には過保護になりやすいのです。
しかし、お互いに尊厳をもって暮らしていくためには、やはり境界線を守る必要があります。
相手の「敷地」がどれほど雑草でいっぱいであっても、入り込んで雑草抜きをするべきではないのです。
それを相手の現状として受け入れる勇気も必要です。
そのためには、人間の基本的なプロセスを信頼する必要があるでしょう。
それぞれの人には、それぞれの人の課題があって、苦しんだり喜んだりしながらそのプロセスを進んでいくのです。
今は苦しんでいても、本人なりに取り組んでいくことによって、大きな成長があるでしょう。
苦しまないように「敷地」に入り込んでしまうと、そんな成長の機会すら奪うことになってしまいます。
考えてみれば、現在、自分自身が摂食障害になっているというのも、プロセスの一部です。
病気で苦しんでいることはうれしいことではないけれども、そこから多くを学んで、また成長していくことができます。
相手が何かを頼んできた場合、こちらの「敷地」に留まりながらできることであれば、もちろん引き受けてよいのです。
この場合、摂食障害の人は特に、「自分の『敷地』に留まりながら」というところを意識していないと、すぐに相手の「敷地」に入り込んでしまいますので、注意が必要です。
「やらされている」という感覚が出てきたら、すでに相手の「敷地」に入っている証拠ですから、気づいてもどりましょう。
奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史
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