③感情を活用して摂食障害から抜け出そう!【境界線を引くことで不安をコントロールしよう-1】

心の病気

●「敷地」という考え方

以前にも触れましたが、摂食障害の人は「距離」に敏感です。
親しくなってしまうと相手が自分にどんどん侵入してくるのではないか、息苦しくなるのではないか、断れずにどんどん追いつめられるのではないか、ということが心配になるのです。

これは基本的に摂食障害の人が「ノー」をいえないことと関連しています。
ちょっとでも親しくなると振りまわされて苦しくなるのではないか、という不安があるために、結果としては親しい人がだれもいない、というようなことにもなるのです。

また、「過食」の患者さんが「ちょっとしたことで爆発する」「調子がよさそうなので少し話しかけるとまったく口をきかなくなる」ということで悩んでいるご家族もいらっしゃいますが、それは、ご家族の言動が「侵入」と受け取られたため恐怖が刺激された結果だと考えられます。
ご家族のほうには「侵入しよう」などというつもりはなくても、それまで人に振りまわされてきた経験から、あるいは「ノー」をいうことによって事態を満足のいく形で乗り越えたことがないという経験からも、「侵入」には断続的な反応しかできないという人は少なくありません。

一方で、本来は相手の問題なのに、まるで自分の問題であるかのように受け止めている人もたくさんいます。
「自分の本音をいったら心配させてしまうのではないか」と思って、気持ちを打ち明けたがらない人もたくさんいます。
そういうときに、私は、「相手にも心配する権利があるのではないですか」と冗談でいうことがありますが、ある意味では、「心配させないように」と過剰に気にすることは、思いやりを超えて、過保護にすらなってしまうのです。

「心配させると思ったから」と、情報を教えてもらえていなかったときに、私たちは憤りを感じることも多いのですが、それは、「人間として信頼して情報提供してもらえなかった」という感覚に関連していると思います。
対等な人間同士の信頼関係を築いていくためには、ある程度打ち明けにくいことでも伝え合っていくことが大切なのです。

摂食障害の人でそれができない場合が多いのは、基本的に思いやりがあるタイプだからということもあるのですが、育ってきた環境が不安定で、のびのびと感情表現することがゆるされなかった、ということが多いこととも関連しています。
自分が何かを話すとだれかの具合が悪くなる、自分が何かを話すと家庭内に不和が起こる、自分が何かを話すとだれかが過剰に心配して、「お願いだからそんなことをいわないで」などといわれる、というようなパターンは多く見られます。

常に「相手はどう思うだろうか」ということを基準に振る舞ってきた人は、相手の問題を自分の問題としてとらえるようになるのも当然なのです。

ここでは、両方のテーマに共通する「境界線」の話をしたいと思います。
私たちは、それぞれの精神的な「敷地」を持って暮らしています。
自分がものを考え、感じ、判断をしたりするスペースのことをここでは「敷地」と呼ぶことにします。
その敷地が守られないと、精神的な健康は得られないといってよいでしょう。
そして、満足できる人間関係では、お互いの「敷地」が尊重されているものなのです。

⇒「2」に続く

奈良 心理カウンセリングルーム
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