①摂食障害は治る病気です【「母親の育て方が原因」という考え方には要注意】

心の病気

摂食障害の本を読んだり、医療機関にかかったりすると、必ずといってよいほど耳にするのは「母親の育て方が原因」ということです。
以前に比べるとそういう考え方には問題があるということが知られるようになってきましたが、今でもやはり多くの場所で耳にする言葉です。

この考え方は、正確でないばかりか、治療の妨げになります。
治療に協力的でないお母さんによくよく話を聞いてみると、どこかしらで「母親の育て方が原因」といわれていることが多いのです。
そして、そのことで傷ついて医療機関に対して敵対的になってしまっていたり、「どうせ自分はだめな母親だから」と、可能な努力も放棄したりしているような人が少なくありません。
母親があまりにも過去のことばかり詫びるので、「その結果としてできた失敗作である現在の私はどうしたらよいの?」と思う患者さんもいます。

摂食障害は、生育環境の影響を確かに受けるものです。
しかし、生育環境を母親ひとりがつくり出すということは、あり得ません。

確かに、子どもに対して母親が及ぼす影響は絶大ですし、それだけ大切な存在だということは事実です。
同時に、完璧な母親などどこにもいないということも事実です。
母親が自分の弱点を子どもに向けるような形の育児しかできなかったのはなぜか、ということを考えていくと、決して母親ひとりの責任だといえるようなことはありません。
サポート態勢がなかったり、周囲が母親を追い込むような構造になっていたりするのです。

摂食障害は、身のまわりの人たちが問題にどのように対処していたか、ということにも関連する病気です。

例えば、母親がいろいろな困難を抱えていたとして、父親はそのことを批判するだけで助けようとしなかったとしたら、子どもは父親を嫌うと同時に、「人間は完璧にできないと批判される」「人間は、所詮は自己中心的で、困った人を助けないものだ」という部分だけを強く覚えていきます。

欠点があっても、トラブルがあっても、ときには喧嘩をしても、受け入れ合っていける、という人間模様を見て育った子は、「少しでも太ると自分の価値が下がる」と思いつめるような人には育たないでしょう。

「病気になったのは母親の育て方のせいだ」といってしまうと、母親が治療に効果的に参加できないばかりか、関係者に再び同じ傷を与えることになってしまうのです。
そして、その構造から患者さんが学ぶこともまた同じ、ということになります。

それでは病気は治りません。

奈良 心理カウンセリングルーム
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