社交不安症について/8.自己実現で乗り切ろう【①社交不安を生かして成長しよう】

心の病気

社交不安になりやすい自分の性格と戦って一生を終わるのでは、虚しい人生になってしまいます。
社交不安をむしろ成長へのエネルギーとして生かすことを考えるほうが賢明です。
本章では、自己実現を目指しながら、社交不安を乗り越える方途を考えます。

1.社交不安を生かして成長しよう

人は誰でも多かれ少なかれ不安を抱えながら生きています。
しかし、なかには、不安との闘いに疲れるほどのエネルギーを消費してしまう人がいます。
社交不安のために、自分が望む人生をあきらめてしまう人がいます。

社交不安に負けるのではなく、また、社交不安を克服することにもっぱら目を向けるのでなく、自分がやりたいことに目を転じることです。

不安を抱えながらでも、自分の夢の実現に向かって進むことです。

社交不安の人にとって、この不安こそが夢の実現を後押ししてくれるエネルギーともなります

【社交不安を持つ作家たち】

作家の鈴木弘樹氏は、「グラウンド」という作品で新潮新人賞を受賞し、その後、芥川賞の候補になりましたが、社交不安のために電話にも出られないそうです。
ましてや人前に出られません。
そのために、新潮新人賞の授賞式さえ欠席しています。
「Webマガジン幻冬舎」に、朱川湊人氏の「スピーチは苦手です」という文が掲載されていました。
朱川氏は、「フクロウ男」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞を受賞しました。
さらに「花まんま」で直木賞を受賞した才能溢れる作家です。

朱川氏の「スピーチは苦手です」という文を読むと、本当にスピーチ恐怖症であることが伝わってきます。
たとえば、日本ホラー小説大賞授賞式では、「短編賞なので、ご挨拶も短編で失礼いたします」と、15秒ほどで終わらせたというエピソードを紹介しています。

ノーベル文学賞を受賞した川端康成にしても、自分のことを「山里にかくれたい者」とか「非社交的な日本の作家のうちでも非社交的」と書いています。
実際彼は小学校入学からしばらくの間学校に一人で行けないので、お手伝いさんに授業が終わるまで教室で付き添ってもらっていました。
このために、4年生頃までは毎年40日ほど欠席するなど不登校気味でした。

作家という仕事は、一人でこつこつ文章を作るということで、むしろ社交不安の人に適する仕事なのかもしれません。
社交不安という特性が有効に作用しているように思われます。

【個性を糧にして何をするかが大事】

むろん他の領域で活躍する有名人にも、社交不安の人は数多くいます。

インド独立運動の指導者マハトマ・ガンジーは、強い社交不安を抱えていたといわれています。
ガンジーが選択した無抵抗主義(非暴力・非服従)という戦術は、彼の社交不安の性格と結びついているのかもしれません。

動物と人間との壁についての認識に衝撃的な事実を提供した天才ゴリラ「ココ」の育ての親パターソン氏は、研究費の援助を依頼する電話をかけるとき、震えが止まらないということです。

多くの永続的な成功を納めた人々(ビジョナリー・ピープル)を取材し、成功の要因を分析したジェリー・ポラスらは、次のように結論しています(ジェリー・ポラス他著、宮本喜一訳「ビジョナリー・ピープル」英治出版)。

「筆者は、ビジョナリーな人の個性は千差万別だということに気がついた。彼らはフィル博士(訳注:アメリカのメディアで人気のある心理学者)の解説に委ねたほうがよいような、あらゆる種類の心理的な課題を抱えている。極端に内気な人もいれば、どうしようもなく強引な人もいる。
個性によって永続的な成功がおさめられるかどうかが決まるのではない。重要なことは、その大切な個性を糧にして何をするのかということだ。
しかし、ビジョナリーな人は、彼ら自身が生きがいである何かを見つけ出し、しかも、非常な情熱を注ぎ込んで没頭することによって、まかり間違えば自分をだめにしてしまうような心理的課題を乗り越えている。」

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

心理カウンセリングルーム ナチュラリー. では、「来訪・訪問カウンセリング」、及び、電話・ビデオ通話・メールによる「ネットカウンセリング」と、豊富なメニューを揃えております。
遠方の方におかれましても、どんなお悩みでも、どうぞお気軽にお問い合わせ下さいませ。

●来訪・訪問カウンセリング http://mental-naturally.com/visit/
●ネットカウンセリング   http://mental-naturally.com/internet/