社交不安症について/7.そんなにつらいなら医者に行こう【②社交不安障害の薬の種類と効果】

心の病気

【SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)】

医者に行くと、どのような治療がなされるのでしょうか。

一般に、薬物治療と認知行動療法との併用が社交不安障害に対して有効であるとされています。

治療薬としては、現在、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が中心となっています。

SSRIとはセロトニンに選択的に作用する薬の総称で、商品には複数種類あります。
選択的とは、いろいろな神経伝達物質に作用するのではなく、セロトニンだけに「選択的に」作用するという意味です。
心理的障害に関係の深いセロトニンの量を適切な状態に保つ働きをする薬です。

セロトニンの不足がうつ病と結びついているので、SSRIはもともとうつ病の薬として用いられてきました。
ですから、服薬によって、不安が生じにくい、気持ちが軽くなる、細かいことが気にならなくなる、クヨクヨしなくなるなどという効果があります。

社交不安障害にSSRI系の薬がよく効くということで、医師の意見は一致しているようです。

杏林大学教授の田島治氏は、薬が効きすぎて「どうでもいい」という気持ちになってしまうことがあるので、「まあ、いいか」といった気持ちになる程度に、薬の量を調節するということを述べています(田島治著「社交不安障害…社交恐怖の病理を解く」ちくま新書)。

副作用についてはほとんど心配するほどのことはない、と多くの医師が語っています。
ただし、飲み始めのときに吐き気、食欲不振、眠気が生じる人がいます。
また、少し服用を続けた段階で、一時的に不安やうつ感情が強くなる人もいます。
気持ちの高ぶりや攻撃性が強まることも稀にあるそうです。

服薬は、最低でも半年など、年単位で考える必要があります。
また、薬の効果が実感できるまでには、一か月程度は見ておくことが求められます。

【β遮断薬、ベンゾジアゼピン系抗不安薬】

SSRIが中心ですが、必要に応じて、β遮断薬ベンゾジアゼピン系抗不安薬が併用されることがあります。

β遮断薬とは、もともと狭心症や心筋梗塞の予防薬などとして用いられてきたものです。
交感神経の働きを抑制して、動悸、震え、発汗、口の渇きなどの身体症状を抑える作用をします。

即効性があるので、特定の場面で、必要なときに服用するという形になります。
たとえば、あがり症の人が、スピーチの1、2時間前に服用すると、症状が著しく軽減されます。

アメリカではプロミュージシャンのおよそ30%の人がコンサート前に使用しているという報告があるそうです。
また、心臓専門医の学会で研究発表する医師の13%が事前に服薬していたという調査もあるそうです。
心臓専門医でも「心臓が強い」わけではなさそうです。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、脳内神経伝達物質の一つであるギャバの働きを調節することで、不安や緊張の緩和をする薬のことです。

これは、短時間で効果が現れ、とりわけ身体症状に効果があります。
ただし、眠気、めまい、食欲不振などの副作用が出ることがあります。
また、依存性の可能性もあります。
このために、短時間、必要なときだけにとどめるのがよいとされています。

【薬で心の緊張をゆるめ、心理療法で心の力を高める】

ところで、社交不安とは心の問題です。
それなのに、どうして薬が効くのか、どうして心を変える作用があるのか、という疑問が湧きます。

この点について精神科医の大野裕氏は「薬を使いながら自分の力をうまく発揮できるようにすること」であり、「薬は心の力を育てるための手助けの一つ」と考えることだと述べています(大野裕著「不安症を治す…対人不安・パフォーマンス恐怖にもう苦しまない」幻冬舎新書)。

薬で生理的興奮を抑制することで心の緊張をゆるめ、心のコントロール機能を高めることだといえます。
心の不安を解くことで、目標とする行動ができるようになる。
そのことが自信につながり、心が変わるのです。

ですから、心の力を育てる援助が必要になります。
それを担当するのが、心理療法です。

社交不安障害では、薬と心理療法を併用することが効果的であると言われており、再発率も低くなるという報告があります

このために、クリニックによっては、心理療法部門も設置されており、薬での治療と並行して心理療法を施してくれます。
服薬の必要がないということであれば、心理療法だけを受けることもあります。

また、心理療法の担当者がいない場合には、他の適切な機関を紹介してくれることもあります。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

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