社交不安症について/4.この心で乗り切ろう【⑤認知療法の実践例】

心の病気

作成した資料にちょっとしたミスがあって、それがひどく重荷になっている人を例にあげて、否定的思考をどのように肯定的思考で置き換えるかを見ていきましょう。

●選択的抽出の例
否定的思考:ミスをしたことだけにこだわってしまっている。
肯定的思考:それ以外の部分はきちんとできていた。また、今までもしっかりとやってきた。そのことを周囲の人も評価してくれている。

●独断的推論の例
否定的思考:上司に廊下であいさつしたのに無視された。「きっと私がミスしたので怒っているんだ」とひどく落ち込んだ。
肯定的思考:他の可能性はたくさんある。上司はそのとき、他のことで頭がいっぱいだったのかも知れない。急いでいたために、あいさつを返すタイミングを失しただけなのかもしれない。
たとえ、本当に怒っていたとしても、明日もう一度「迷惑をかけてすみません」と、謝ろう。そして、以後ミスをしないで、信頼を取り戻す努力をするだけだ。他の人の感情を完全にコントロールすることなどできないのだから。

●過度の一般化の例
否定的思考:こんなミスをしたので、自分には会社でやっていく能力がない、会社での将来はない、という気持ちになっている。
肯定的思考:誰でも一度や二度のミスはする。ミスが生じるには、いろいろな条件があり、自分の能力だけの問題ではない。まして、一度のミスが会社でやっていけないという能力評価の基準にはならない。

●過大視と過小視の例
否定的思考:ミスを実際以上に重大に考えてしまっている。きちんとやり遂げた仕事のほうはほとんど無視してしまっている。
肯定的思考:全体として満足できる水準でやり遂げた。ミスはその一部だ。自分がうまくやり遂げた仕事がこれまで多々ある。それらを過小評価しないようにしよう。

●自己関連づけの例
否定的思考:他の人の視線が私のミスを非難しているようでつらい。
肯定的思考:実際に非難されているわけではない。単なる思い過ごしかもしれない。

●二分的な思考の例
否定的思考:「自分はダメ人間だ」と全面的に自己否定に陥っている。
肯定的思考:人間は「ダメ」「ダメでない」で分けることはできない。それぞれの人がダメな面もあれば、ダメでない面もある。ちょっとした不注意がミスを生んだなら、これから注意すればよいことだ。

社交不安の人は、このうちの否定的思考に意識が向きがちなのです。
否定的思考が繰り返し、繰り返し、頭に浮かんでしまいます。
自動的な否定的思考を修正するのは、そんな容易なことではありません。
何しろ、これまでずっとそうした思考に浸ってきたのですから。
ですから、上に示したような肯定的思考を対置して、何度も何度も確認して、頭に刻み込むようにすることが必要です。

奈良 心理カウンセリングルーム
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