社交不安症について/3.なぜ、恐れてしまうのか【⑤社交不安を乗り切るには】

心の病気

【社交不安を克服するための対処法】

以上のことから、社交不安を克服するためには、心と、身体と、行動とに総合的に対処する必要があることがわかります。

①心理的対処
まず、心の持ち方については、認知の歪みを正すことです。
たとえば、物事を否定的に見たり、過度に脅威的に見たりしてしまう傾向を正すことです。

また、否定的感情によって大きく混乱しないで済むような技能を高めることです。

こうしたことを通して、やがて、他の人の目でなく、自分の目で物事を見るようになることです。
自分の内的基準に従って物事を判断し、「人は人、自分は自分」に徹しようとする姿勢を作ることです。

②身体的対処
身体的変調への対処法としては、身体的変調の程度を低めることが主眼になります。

そのためのいろいろな技法が、リラクゼーション法として発展してきました。
これらのうちのいくつかの技法を身につけてください。
それは、社交不安への対処だけでなく、より快適な心身の状態を作り出すのにも役立ちます。

③行動的対処
行動への対処法としては、まず、自分がとりがちな回避行動を意識することです。

社交不安の人は、いろいろと巧みな回避行動をとっています。

回避行動はそのときには役立っても、長期的に見ると社会的能力の発達を妨害することは先に指摘しました。
それだけでなく、いっとき成功したように感じても、実際には逆効果になっていることが少なくないのです。

たとえば、つらい場面をとにかく早く終わらせたいために、「後で私がやっておきますから」などと、その場しのぎの行動をしてしまいがちです。
あるいは、知らないことなのに「知らない」と言えないで、知っているかのようにして、その場を済ませてしまいます。
そして、これにより、重い気持ちを引きずることになってしまうのです。

行動を変容する心理学的技法は、行動療法として発達してきました。
これらの技法を適用することで、回避行動の修正を図りましょう。

次章以下で、心理的対処、身体的対処、行動的対処の仕方について、いろいろな技法を紹介します。
それらのうち、自分に合うと思われる技法を、一つでも二つでも身につけていただきたいと思います。
「自分にはこれがある」というだけでも、ずいぶん気持ちが楽になるものです。

【適度な不安は社会に適応するために必要なもの】

ところで、不安は不快な体験なので、それから完全に解放されたいと考えがちです。

しかし、適度な不安は目標に向けての適切な行動へのエネルギーを生み出すものであり、必要なものです。

まったく不安を感じないとしたら、脅威的な事態に対して前もって準備することなく立ち向かわざるを得ません。
たとえば、入学試験にまったく不安を感じないとしたら、受験準備をすることなく入学試験を受けることになります。
その結果は目に見えています。
受験生は、「落ちるかもしれない」とある程度の不安を感じるので、何か月も前から受験勉強をするのです。

しかし、反対に、不安が強すぎる場合には、落ち着いて勉強することができません。

その結果、焦りを感じているのですが、受験準備はちっとも進まないということになります。

このように、不安とは本来、必要な行動を導くものなのであり、適度な不安は歓迎すべきものなのです

私たちの不安が、行動と生活と社会を支えている面が少なくないのです。
たとえば、先を見通して仕事をすること、健康に留意する行為、いざというときに備えて貯蓄する行動、学校という組織等々、いずれも不安によって組織化されているものです。

したがって、社交不安を克服するということは、不安を感じなくなることを目指すものではありません。

目指すべきは、効率的な行動を導く不安の範囲を広げることです
不安を抱えつつも、それに混乱させられず、むしろ前進するための動力に変えて、生活を楽しみながら展開していけるようにすることなのです。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

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