社交不安症について/3.なぜ、恐れてしまうのか【④不安を感じたとき心身に起こる反応】

心の病気

【強い社交不安を感じたときの心理状態】

強い社交不安を感じたときには、心と身体と行動に独特な状態が生じます。

心理的側面でいえば、思考が柔軟性を欠くようになります
視野が狭くなり、思考は堂々巡りをして、創造性が失われます。
考え方は否定的になり、弱気になります。

このために、事態はいっそう脅威的に感じられ、無力感や、うつ的感情や焦燥感、消耗感、無価値感など不快な感情が心全体に広がります。
場合によっては、怒りや憎しみなどの攻撃的感情が優勢になることもあります。

これら不快な感情から逃れようとして、意識的、無意識的にいろいろな心理的防衛作用が働きます

たとえば、不安な事態を考えないようにするとか、忘れようとするなど心理的回避が生じます。
また、合理化するなど、事態を歪曲することもあります。
本当は自分に責任があるのに「他の人も連帯責任だから」と考えるとか、「くだらない会だから出席する価値がない」といった口実をつけるなどです。

【社交不安に襲われたときに出やすい身体の症状】

社交不安を感じたときは、身体的変調も生じます

緊張して、手が震え、声が震え、膝がガクガク、心臓がバクバク。
腰のあたりがズキンと痛む人もいます。

呼吸が速く、浅くなり、身体がほてったり、悪寒がしたりします。
顔が赤くなる人もいます。

視野がかすむ、めまいがする、耳が遠くなる、頭が圧迫される感じになります。
口の中はカラカラになり、吐き気がしたり、胃がきりきりと痛みます。
おしっこやうんちをしたくなることもあります。
食欲不振になったり、過食になることもあります。

こうした身体の変調は、交感神経系の興奮を中心とするものであり、基本的には「逃走か闘争か」という気急事態における動物的反応の名残と考えられます。

「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しいのだ」という感情のジェームス・ランゲ説がありますが、確かにこうした身体的変調を感じ取ると、社交不安がいっそう高まることは事実です。

【社交不安時にとりがちな「回避行動」とは】

社交不安になると、行動もまた通常とは違って、非合理的、非効率的、さらには混乱状態になります

たとえば、無意味に動き回る、元気がなくなり停滞する、乱暴になる、つっけんどんになる、仕事の能率や質が低下する、注意力が落ちて間違いや事故を起こしやすくなるなどです。

社交不安時の行動については、とりわけ回避行動を理解する必要があります。
回避行動とは、不安場面を意識的、無意識的に避けようとする行動です。

明確で意識的な回避行動の例としては、たとえば以下のようなことがあげられます。

会に欠席する。発言しない。推薦されても辞退する。注目されないよう注意して行動する。電車やバスで知り合いと一緒にならないように時間をずらす

本人は明確に意識していなくても、日常生活の中でじつに多様な手管を使っているものです。
そして、それらを回避行動と思っていないことも少なくありません。

たとえば、ある人は、会議には定刻きっちりか、少しだけ遅れて出席します。
そうずれば、雑談しなくても済むためです。

ある人は、パーティのときに、料理を作るのを手伝うとか、飲み物を運ぶ、掃除するなど、もっぱら陰の働き役をします。
それによって、会話する負担から逃れられるし、自分の存在価値も実感できるからです。

ある人は、電車を待つとき、一番前には並びません。
一番最初に電車に乗ると、すでに乗っている人の視線を浴びることになるからです。

少なくない人が、講義や講演会などで、できるだけ後ろのほうの端っこの席に座ります。
前のほうの正面の席に座ると、講演者と視線が合ってプレッシャーを感じるからです。

こうした回避行動は、成長という観点から見ると有害なことが多いのです。
なぜなら、事態に慣れる機会が奪われてしまい、事態に適切に対処する能力を育てる機会が制限されてしまうからです。
また、回避行動はうまくいけばいくほど、事態に立ち向かうのではなく、回避しようとする心理傾向が強化されてしまうからです。

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