社交不安症について/1.何を恐れているのか【⑤生身の自分が知られてしまう不安】

心の病気

社交不安を感じる場面とは、殴られたり、刃物で傷つけられたりするわけではありません。
それなのに、不安になったり、恐れてしまうのは、いったい何を恐れているのでしょうか?

⑤生身の自分が知られてしまう不安

【秘めた内面を知られたくない】

社交不安の中には、生身の自分が知られてしまうことを恐れる心理が含まれていることがあります。

こうした傾向の人は、知り合いになってもほどほどの距離を保つとか、お店など馴染みにならないように気を遣います。
あるいは、自分についての固定観念を持たれないように努める人もいます。
自分のイメージが固まりそうになると、行動パターンを変えたり、服装を変えたりするなどして、別な自分を印象づけようとします。

自分が知られることを恐れるのは、自分の内面を見透かされてしまうのではないか、という不安が主になっています。

これは幼い子どもの心の名残のように思われます。
子どもの頃、何かいけないことをして親に隠しているとき親の目が怖かった、という体験を持っている人は少なくありません。
あるいは、クラスの友達に嘘をついてしまい、それがばれないかと、その後ハラハラのし通しだったという体験がある方も少なくないでしょう。

思春期以降には、急速に心理的能力が発達して、表に出す行動と秘めた内面とのギャップが大きくなります。
その秘めた内面を知られることを、恐れるようになるのです。

知られることを恐れる代表的なものは、劣等感に関わることです。
人と接することで劣っていることが明らかになったり、劣等感が刺激されてしまうことを恐れます

たとえば、社交不安の高い人は、声がうわずったり、顔が赤くなったり、手が震えたりすることで、自分が社交恐怖であることを知られるのをひどく恐れます。

仕事など公的な場は平気なのですが、プライベートな場が苦手だという人がいます。

仕事ではバリバリ鍛えてきたので、仕事には自信があります。
仕事のことなら誰としゃべってもほとんど平気です。
ところが、仕事を離れた会話をしなければならなくなると、とたんに不安になります。
「自分は幅が狭いつまらない人間だ」という劣等意識があり、そのような自分を知られてしまうことを恐れているのです。

知られたくない内面のもう一つの代表は、性に関わることです

ある学生は、自分の特殊な性的嗜好に苦しんでおり、心理学の先生の目が「なんでもわかっているよ」とでも言っているようで怖い。
それで、心理学の授業では寝たふりをするとか、視線を上げないでノートをとっていると言います。

【変な人、みんなと違うと思われることが怖い】

自分を知られる不安の中には、変な人、変わった人などと見られることを恐れる心理も含まれます。

女性が一人でいることに不安を感じるのも、この心理が含まれていることがあります。
一人でいるのは仲間に馴染めない異質なところがあるためだ、と他の人から見られるのではないかという恐れです。

この不安のある人は、みんなと同じように見られたいという意識が強いので、自分と他の人の行動をいつも見比べています。
そのために、自分を異質性を持った人ととらえる傾向があり、それをひどく気にしていることが少なくありません。

たとえば、会話のとき、相手と目を合わせる時間が長すぎないかとか、頻繁に視線を合わせすぎないかと気になります。
笑うとき、口を開けすぎて歯ぐきが見えてしまわないか、しゃべるとき唾液が口の中にたまりすぎないか、まばたきが頻繁すぎないか等々、思いもよらないことを気にしていることが珍しくありません。

このように自分の細かい部分に注意を向けると、自分の異質性を証拠だてるようなことばかりに目がいってしまいます。
その結果、自分は異質であるという確信を強めることになります。
それを否定したくて、「私って、変じゃないですよね」と何度もカウンセラーに確認を求める人もいます。

【身体の変調を知られるのが恥ずかしい】

社交不安の中でも、身体的な変調を知られることを恐れている人は意外に多いものです。

たとえば、お腹がグルグル鳴る音を聞かれるのではないかと、静かな場所や静かな時間を恐れます。
コンサートなどは最悪です。
あるいは、人中で吐いてしまうのではないかと恐怖する人もいます。
「吐くかもしれない」「吐きそう」と思っていると、本当にお腹からこみ上げてくるものがあります。
頻尿のために何度もトイレに行くのを変に思われないかと気にする例も見られます。

こうした症状は、気にすれば気にするほど高じてきて苦痛が増します。
実際にはお漏らしすることはありません。
しかし、心因性のものであり、大丈夫だとわかっていても、容易に治まるものでもありません。

中学や高校でこの症状が始まると、長い時間を静かな教室で過ごすのでとくにつらいものです。
しかし、大学に入ったり、就職すると、空間と時間がより自由になるので、自然に治るか、軽減することが多いものです。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

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