話を聴こうと思っても、どのように対応すればよいのか困ったことはありませんか?
対応が難しい事例を取り上げて、アプローチの方法を紹介します。
【ひきこもりの人への対応】
ひきこもりとは、不登校や就労の失敗をきっかけに6か月以上自宅に閉じこもって外出しない状態のことをいいます。
<心の動き>
ひきこもりが発現しやすい思春期(10~18歳くらい)のおもな発達課題には、両親(とくに母親)からの分離があります。
思春期前半には、親から心理的に距離をおき、同性の仲間との時間を大切にするようになります。
この時期は仲間集団からの脱落を恐れ、集団に適応することに過剰に神経をとがらせます。
そのため、仲間集団から阻害されたり、なんらかのトラブルが生じたりすると、強い挫折感と恥の感覚を抱き、仲間や学校生活から逃げようとするのです。
思春期後半になると、信頼できる友人を求めると同時に、自己という感覚に過敏に反応するようになります。
他者の視線や批判、さらには自己の独立性・自律性に対する不安に心が揺さぶられます。
しかし、「助けてほしい」という思いと「かまわないで」という相反する感情の葛藤があり、まわりの大人たちに適切な支援を求めることができません。
そのため、この時期に友人関係が破綻すると、独立感や無力感を募らせ、ひきこもりへと発展していきやすいのです。
この思春期心性は、19歳以降の青年期においても、危機に陥ればすぐに頭をもたげてくるもので、ひきこもりについては共通のメカニズムが働くと考えられています。
<アプローチの方法>
思春期におけるひきこもりでは、子どもは学校に行っていないことに対する罪悪感をもっているため、中立的な質問であっても、非難されていると受け止めることがあります。
まして説得や議論、叱咤激励といった一方的な働きかけをされると、子どもは不信感をあらわにし、ときには暴力によって対抗しようとすることもあります。
まずは、ひきこもり状態をまるごと受容し、信頼関係を築くことから始めます。
ひきこもりを受容することで、子どもはますます安心してひきこもりつづけてしまうのではないかと不安に感じる人もいるでしょう。
しかし、ひきこもりに対する恥の感情が消えることはありません。
ひきこもりを批判せず、子どもと少しずつでも向き合い対話をしていくことが、問題解決への第一歩になります。
教え導くような権威的な物言いではなく、相互に言葉を交わし、共感し、親密なおしゃべりができるようになると、子どもは安心感を得ることができるのです。
ただし、長期にわたるひきこもりは、本人や家族の自助努力だけで解決することはまずありません。
教育機関、保健機関、児童福祉機関、医療機関などの専門機関による多面的な支援を必要とします。
奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史
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