患者さんにはどんな言葉をかけたらよいか【パニック障害・家族や周囲の人は患者さんをどう支えるか】

パニック障害

患者さんにはどんな言葉をかけたらよいか

【望ましい言葉】

「そばにいるから」
強い不安や恐怖にかられているとき、患者さんが求めているのは「安心」です。
忙しいからと適当にあしらわず、短くてもよいので、患者さんの話に耳を傾けるようにしましょう。
家事などの作業に戻るときは、「そばにいるから」と声をかけましょう。
どんなときも支えになる、味方になるという「安心感」が伝えられます。

「よくなっている」
パニック障害は慢性の病気です。
なかなかよくならなくても、あせりは禁物です。
だれよりも回復を望んでいるのは、本人です。
まわりがあせるほど、患者さんは追いつめられ、回復が遅れます。
家族は、気長に病気とつきあっていく心がまえが必要です。
患者さんの様子にいつも気を配り、よい兆しを見つけたら「よくなっているね」と伝えましょう。
患者さんにとっては何よりの励みになります。

「できたね」
パニック障害になると、いろいろなことが困難になります。
特に、広場恐怖症があると、外出もむずかしくなります。
行動療法は効果のある治療法ですが、それに取り組む患者さんにとっては、最初は足がすくむ思いです。
それでも一歩踏み出すことができたら、家族は「できたね」といっしょに喜びましょう。
次の一歩がつづけられます。

「ありがとう」
患者さんは、家族の助けを借りなければならない生活を、自分でも情けなく感じています。
掃除などの家事は、患者さんにまかせてみるのもよいでしょう。
家事は、運動効果もあります。
きれいになったら、必ず「ありがとう」と伝えましょう。
患者さんにとっては、自分の存在が家族に迷惑をかけているだけではないと思え、喜びになります。

「だいじょうぶ」
患者さんに対しては、家族は過度に神経質にならず、自然に接することが大切です。
はれものにさわるように気をつかうと、「自分の病気はそんなに重いのか」と逆に不安に思います。
ただ、どんなに自然に接していても、患者さんが不安になるようなことは起こります。
こわがっている患者さんには、「こわがらなくてもよい」という否定的な言葉より、「だいじょうぶだから」というポジティブな言葉を使いましょう。

【避けたい言葉】

●「気の持ちよう」
パニック障害の不安や恐怖は、脳の機能障害によるもので、どんなに気持ちを強く持ってもコントロールできるものではありません。
しかし、発病の当初は、家族もよく理解していないため、元気づけたり励ますつもりで、つい「気の持ちようだから」「しっかりして」といってしまうことがあるかもしれません。
いった家族は忘れていても、いわれた患者さんは深く傷つきます。
精神力で克服できるというニュアンスの言葉は使わないようにしましょう。

●「本当に病気なの?」
パニック障害という病気は誤解されがちです。
恐怖や不安は、健康な人でもふつうに持つ感情ですので、こわいと訴えても、「甘えている」ととられてしまうのです。
誤解が高じると、「仮病」と思われることもあります。
都合が悪いことから逃げるために「病気のふりをしている」といわれるわけですから、患者さんには大きな苦痛です。
病気の苦しみと、家族からの誤解という二重の苦しみは、病気の悪化をまねきます。

●「なぜ? どうして?」
パニック障害の発病のメカニズムは、脳の機能やストレスなどが関係することはわかっていても、全貌はまだ明確にはなっていません。
それでも家族としては、患者さんのケアの先行きが見えないと、つい原因を探したくなります。
しかし、「どうして、こんな病気になったの?」「なぜ、うちの子が?」とこぼすのは、患者さんを追いつめることになり、逆効果です。

●「育て方がわるかったのかしら?」
これは親(特に母親)に多いのですが、「自分の育て方が悪かったから病気になった」などと罪悪感をいだくのも、患者さんには悪い影響をあたえます。
それでなくても患者さんは、家族に迷惑をかけていると思っています。
自分のために親が苦しんでいるのを見るのは、患者さんにとっても大きな苦痛となります。

●「女々しい」
パニック障害は、女性の病気と思われがちです。
医学的な根拠はなにもないにもかかわらず、不安や恐怖は女性に多く、男性には少ないという先入観にとらわれている人が少なくありません。
ときには、からかい半分にパニック障害は「女々しい病気」と口にしたりします。
そうなると男性患者は、不安を訴えることさえがまんしてしまいます。
家族(中でも父親や兄弟)にまで「女々しい」といわれるのは屈辱だからですが、無理に感情を押し殺しても、別の苦しみを生むだけです。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

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