【「重要な他者」に焦点をあてた療法】
対人関係療法は、対人関係に焦点をあて、それを解決することで治療をするという療法です。
対人関係療法では、もっとも親密な関係にある、妻または夫、恋人、親子、親友といった「重要な他者」にしぼり、過去ではなく、いま現在の関係に焦点をあてて治療を行っていきます。
対人関係でトラブルが起きやすく、悩みやすいうつ病の患者さんにとって、対人関係の不安が解消されることは、非常に重要な意味を持ちます。
対人関係療法は、
①「悲哀」…「重要な他者」の死を受け止めきれていない
②「対人関係の役割をめぐる不和」…「重要な他者」に対して、お互いの思いにズレがある
③「役割の変化」…進学、就職、転職、結婚、離婚などによる人間関係や環境の変化についていけない
④「対人関係の欠如」…①~③の3つのどれにもあてはまらないが、人間関係が欠如していて、社会的に孤立している
の4つのテーマから、1つか2つを選択し、治療を行っていきます。
うつ病の患者さんは、人と接することが苦手だったり、親しい人間関係がつくれないと思い込んでいる人が多く、問題は「対人関係の欠如」にあると思いがちですが、「重要な他者」に焦点をあててみると、実は「役割の変化」に原因があったという場合もあります。
このように、対人関係の適応能力を高めることで心の病気を改善していくのが対人関係療法です。
■対人関係の4つの問題領域と対処法
①悲哀
重要な他者との死別がうまく乗り越えられず、現実を直視できなかったり、新しい人間関係が築けない
➡死別した人との関係を、よい面もよくない面も素直に思い出し、死者を美化しすぎたり、自分を責めすぎたりしていないか考えてみる。
そして、死別との折り合いをつけ、現在の対人関係に目が向くように気持ちをコントロールしていく
②対人関係上の役割をめぐる不和
重要な他者に対して、お互いの思いに大きなズレがあり、それが無力感や絶望感を生んでいる
➡お互いの気持ちを率直に話し合い、何が問題か、修正したり、もとの関係に戻すことができるのか、新しい環境を築き直すほうがいいのかなどを見きわめる
③役割の変化
進学、就職、転職、退職、結婚、出産、離婚などの変化にともない、自分の立ち位置や、重要な他者との関係性が変化し、それに適応できない
➡その変化が本人にとってどういう意味を持っているのか、プラス面とマイナス面を書き出してみると、状況がよくわかるようになる。
そして、新たな役割には何が必要か考え、スキルを身につけていく。
だんだん新しい対人関係が築けるようになる
④対人関係の欠如
①~③のどれにもあてはまらないが、人間関係が欠如していて、社会的に孤立している
➡相手の気持ちを知ることにとらわれすぎると、コミュニケーションがはかれない。
また、相手の同意を期待しすぎても、うまく気持ちが伝えられない。
素直に話してみる。
葛藤や歩み寄りは当然である。
自分の気持ちや考えを知り、行動に気づくことが大切。
つまり、自分のことについては、自分で責任を持とうとする態度が重要
★Point
●対人関係療法は人間関係に焦点をしぼって行う治療法
●対人関係のトラブルが起きやすいうつ病の患者さんには有効な治療法
●対人関係の適応能力を高めれば、心の病気の改善に役立つ
奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史
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