■「認知のゆがみ」の例
●二分割思考(両極端な思考)……何事も「白か黒」「〇か✕」「全か無」「善か悪」など両極端に分けて考える
●過度の一般化……1つのよくないことがあると、「いつも決まってこうだ」「うまくいったためしがない」と考える
●破局形成……いつも最悪の事態を考えており、しかもそれが自分に起こる確率が高いと考える
●マイナス思考……よいことがあっても、「たまたまだ」「まぐれにすぎない」と否定的に考える
●感情的決めつけ……理由もなく「~に決まっている」と決めつける
●恣意的推論……十分な根拠もないのに、ものごとを悲観的にとらえ、勝手に推測して判断する
●否定的予測……ささいなことからいつも否定的な予測が浮かぶ
●自己関連づけ……自分はいつもだれかから見られていると考える(特に悪い行い)
●過度の責任感……何かよくないことが起こった場合、すべて自分に責任があると考える
●すべき思考……何かやろうとするとき、絶対に「~すべきだ」「~すべきでない」と考える
●選択的抽出……あることにだけ強くとらわれる
●低い自己評価……自分は何をやってもまともにできない、ほかの人より劣っていると考える
●拡大視・縮小視……あることを極端に大きく考えたり、逆にささいなことだと感じたりする
【実際の療法の進め方】
認知行動療法は、治療者と患者さんとの対面式の面接が中心で、1回の面接時間は30分以上です。
面接は、原則として週1回で10~20回行いますが、患者さんの状態に合わせて延長する場合もあります。
また、場合によっては、フォローアップ面接を行うこともあります。
さらに、認知行動療法では、「ホームワーク(宿題)」といって、面接で話し合ったことを実生活で検証しながら、認知の修正をはかることが必須の課題となります。
つまり、認知行動療法は、観念的な議論ではなく、あくまでも現実に目を向けた検証を基本とする点に特徴があり、日常生活が治療の場となります。
主な治療の流れは、次のようになります(参考例)。
●ステージ1(1~2回目)
症状、経過、発達歴などの問診。
また、治療の流れについて説明。
問題点を明らかにしながら、治療への参加意欲を高める。
●ステージ2(3~4回目)
現在かかえている問題を、なるべく具体的に、かつ簡潔にリストにまとめる。
治療への理解を深めながら、治療目標を決める。
●ステージ3(5~6回目)
コラム法を使って、ある状況に置かれたときの自分の気分や感情と、自動思考に気づく。
コラム法には、3コラム法、5コラム法、7コラム法などがあるが、基本となるのは3コラム法で、「状況(不快な感情が生じた出来事)」「気分・感情(不安、怒り、ゆううつなど)」「自動思考(そのときに浮かんだ考え)」を書き出す。
書き出すことによって、自分の頭の中を整理することができ、また、自分の考え方を客観的に見ることができる。
●ステージ4(7~12回目)
コラム法を使って、自動思考を検証する。
また、認知のゆがみ以外に、現実的な問題がないかを検証する。
そうすることで、自動思考を適応的なものに変えることができる。
現実的な問題があれば、解決策を探る。
●ステージ5(13~14回目)
自分の「スキーマ」について理解する。
●ステージ6(15~16回目)
治療全体を振り返り、変化した点とその方法を確認する。
再発予防のために、今後の課題や悪化したときの予防法などを話し合って、治療終了。
認知行動療法は、うまく実践できれば、非常に高い効果を上げることができます。
特に、軽度~中等度のうつ病の患者さんには、薬物療法と同等の効果があるといわれています。
また、認知のゆがみを修正することで、再発防止にも役立ちます。
★Point
●認知行動療法は、ゆがんだ認知と不適切な行動の両方を改善する治療法
●認知行動療法の具体的な方法としては「コラム法」がよく使われる
●認知行動療法は、軽度から中等度のうつ病の患者さんには特に有効な方法
奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史
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