【励ましの言葉は追いつめるだけ】
病気のせいで、ぼんやりしていたり、落ち込んでいる患者さんを見ると、家族はつい「がんばって」と声をかけたくなります。
しかし、本人は病気のために「がんばりたくても、がんばれない」状態なのです。
病気になって、ただでさえ罪悪感で申し訳なく思っているところに、「がんばって」といわれたら、「あなたはがんばりが足りない」と批判されたように感じ、ますます落ち込んでしまいます。
うつ病の患者さんに、励ましの言葉は禁物であることを知っておいてください。
ほかに、うつ病の患者さんが絶対にいってほしくないと思っている言葉をあげてみます。
●「元気を出して」
「がんばって」と同じような言葉です。
うつ病は元気が出ない病気なのです。
患者さんにはつらい言葉です。
●「かわいそう」
患者さんは、「自分は人から同情されるような病気になってしまったのか」とますます落ち込みます。
●「神経が弱いから……」
うつ病は神経が弱いせいでなる病気ではありません。
この言葉は、うつ病の患者さんには自分が否定されたように聞こえます。
●「どうしちゃったの?」
どうしたのかと聞かれても答えられないのがうつ病です。
どうして自分はこんな病気になってしまったかと自責の念にかられている患者さんには酷な言葉です。
●「早くよくなって」
だれよりも早くよくなりたいと思っているのは、ほかならぬ患者さん本人です。
しかし、どんなに治りたいと思っても、どうにもならないのがうつ病なのです。
●「だからダメなんだ」
いつまでもよくならない患者さんに対して、ついいってしまいがちな言葉です。
「そういう考え方をしているからダメなんだよ」といわれても、患者さんはそういう考え方しかできないのです。
そのことを責められても、患者さんにはどうすることもできません。
【思いやりの「おしつけ」にも気をつけよう】
また、家族が、よかれと思っていろいろ提案することが、患者さんの負担になることが往々にしてあります。
たとえば、家に引きこもっている患者さんに、「気分転換に旅行にでも行ってみたら」とか「すこし散歩でもしてみたら」とか、あるいは「映画でもみてきたら」などと、余計なおせっかいをやきがちですが、こうした提案は、本人のためというより、家族自身が、いつも家でごろごろしている患者さんの様子を見かねてというケースが多いので、やめたほうがよいでしょう。
また、いかにも慰めるといった感じの言葉や態度も、本人に「みんなに気をつかわせている」と思わせるだけなので、逆効果となります。
【気持ちが楽になる言葉をかける】
うつ病の患者さんに接するときは、相手の気持ちを推しはかって、気持ちが楽になるような言葉をかけてあげることが大切です。
たとえば、「がんばって」や「元気を出して」ではなく、「つらいでしょうけど、早く治そうとあせらないで」や「いっしょにゆっくり治していけばいいから」といった、相手の気持ちを落ち着かせ、不安を取り除くような言葉をかけてあげましょう。
■いってはいけない言葉
<励ましの言葉>
●がんばって ●元気を出して ●あなたらしくない ●あなたならだいじょうぶ ●すぐに治るよ ●気を強く持てばだいじょうぶ ●精神力(気力)で乗りきれ
<患者さんを責める言葉>
●どうしちゃったの? ●あなたは神経(精神力)が弱いから ●だからダメなんだ ●怠けているんじゃないか ●あなただけがつらいんじゃない ●しっかりしてくれないと困る ●いつまでグズグズ(ダラダラ)しているんだ ●そんなことでどうする ●冗談じゃない。こっちの身にもなって ●せっかく〇〇してあげたのに
<不安をあおる言葉>
●ちゃんと治るの? ●こんなことでだいじょうぶ? ●どうしたらいいの? ●この先が心配だ
<回復をせかす言葉>
●早くよくなって ●いつになったら治るの?
■かけてあげたい言葉
<共感する言葉>
●つらかったでしょう ●苦しかったんだね ●つらいのによくがまんしたね
<休養を促す言葉>
●仕事(家事)のことは心配いらないから、ゆっくり休んで ●もう十分がんばったんだから、しばらく休養しましょう ●病気なんだから、しっかり休んで治しましょう
<回復の希望を持たせる言葉>
●必ずよくなるから心配しないで ●急がないで(あせらないで)、ゆっくり治そう ●病気が治れば、もとのようにてきぱきできるようになるから
<協力を約束する言葉>
●何かしてほしいことがあったら遠慮なくいって ●どんなときもあなたの味方だから
★Point
●「がんばって」「元気を出して」という励ましの言葉は禁句
●患者さんを批判したり責めるような言動や、思いやりのおしつけもNG
●かけてあげたいのは、相手の気持ちを落ち着かせ、不安を取り除く言葉
奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史
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