主な抗うつ薬と抗不安薬【パニック障害の薬物療法-2】-③

パニック障害

【効果が速くあらわれ発作を止める「抗不安薬」】

《ベンゾジアゼピン系抗不安薬》

ベンゾジアゼピン系抗不安薬には、神経の興奮や不安をしずめる神経伝達物質・ギャバの活性を高める働きがあり、特にパニック発作や予期不安に即効性があります

患者さんにとって、くり返し起こるパニック発作からの解放はもっとも切実な願いです。
しかし、SSRIでは、効果があらわれるまでに時間がかかります。
その点、作用時間が短いベンゾジアゼピン系抗不安薬なら、パニック発作をすぐ抑えてくれるというメリットがあります。

そのため、治療当初は、SSRIとベンゾジアゼピン系抗不安薬を併用し、SSRIの効果があらわれたらベンゾジアゼピン系抗不安薬のみを中止するという方法がすすめられています。

その理由としては、ベンゾジアゼピン系抗不安薬にはいろいろな副作用があるために、長期にわたって大量に服用をつづけることは避けたほうがよいとされているからです。

■特徴
●パニック発作を確実に抑えます。

●予期不安にも効果がありますが、広場恐怖症やうつ状態にはあまり効きません。

●作用時間(薬が体内に入って半分の濃度に低下するまでの時間)によって、短時間型(6時間以内)、中間型(12~24時間以内)、長時間型(24時間以上)、超長時間型(90時間以上)があります。

■問題点
●眠気、ふらつき、動作がにぶくなる、不器用になる、記憶力や注意力が低下する、攻撃的になる、といった副作用が出ることがあります。

●耐性(薬の効きが悪くなる)や依存性(飲みつづけるとやめられなくなる)があります。

●服用を突然中断すると、症状が再発したり離脱症状(吐き気、耳鳴り、けいれんなど)が出ることがあるため、減薬は時間をかけて徐々に行う必要があります。

■使い方・飲み方
●パニック発作が起きたとき応急的に服用したり、安心して外出するために頓服(症状が出たときに服用する)として持っていく、といった使い方ができます。
ロラゼパム(商品名:ワイパックス)は、舌下で服用すると速く効くので、不安時の頓服薬として有効です。
ただし、ロラゼパムの舌下投与は正式な使い方ではないので、必ず主治医と相談してください。

●服用初期の眠気やふらつきを防ぐため、たとえばアルプラゾラム(商品名:コンスタン、ソラナックス)は1日0.4~0.8㎎から、クロナゼパム(商品名:リボトリール、ランドセン)は1日0.25㎎ないし0.5㎎を就寝前に服用することからはじめます。

●最高量は、アルプラゾラムは1日6㎎、クロナゼパムは4㎎までとし、少しずつふやしていきます。

●服用間の発作を防ぐため、アルプラゾラムは1日4回に分けて飲むことがすすめられます。
クロナゼパムは効果の持続時間が長いので、1日1~2回の服用でだいじょうぶです。

●急に断薬すると離脱症状が出ますので、少しずつ減薬していきます。

●依存性が生じないように、継続して服薬する期間は4週間にとどめます。
発作が不安だからと、長時間漫然と服用しつづけるのは禁忌です。

【そのほかの薬】

《β遮断薬》

β遮断薬は、βアドレナリン受容体(※)を遮断する働きがあり、不整脈の治療薬ですが、パニック障害の治療にも使われています。

β遮断薬は、心臓の神経に直接作用して強い動悸をしずめるため、パニック発作による激しい動悸症状に有効です。

■問題点
●気管支を収縮させる作用があるため、ぜんそくの人が服用するのは危険です。
また、「血圧が下がる」「眠れない」「だるい」「吐き気がする」などの副作用も見られます。
血圧が低い人は注意が必要です。

※ βアドレナリン受容体
アドレナリンは、心拍数の増加や血圧の上昇、瞳孔の拡大、血糖値の上昇などにかかわるホルモンで、副腎で分泌されて体中の臓器に運ばれます。
アドレナリンを受け取る受容体には3種類あり、β受容体は心臓、気管支、血管などにあります。

★Point
●はじめは抗うつ薬と抗不安薬の併用がすすめられる
●抗うつ薬のSSRIは第一選択薬だが、効果があらわれるのが遅い
●ベンゾジアゼピン系抗不安薬は速く効果があらわれるが、長期服用は禁忌

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

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