【気づきにくい薬剤起因性うつ病】
すべての薬剤には、治療効果と同時に、副作用もあります。
副作用の中でも、胃腸障害や肝障害などは医師も気づきやすいのですが、抑うつ症状やせん妄、行動異常などの精神症状については、つい注意を怠りがちです。
中でも抑うつ症状は影響が大きく、患者さんに非常な苦痛をあたえるので、十分な配慮が必要です。
薬剤によって引き起こされるうつ病を、「薬剤起因性うつ病」、あるいは「薬剤惹起性うつ病」と呼びます。
うつ病を引き起こしやすい薬剤としては、降圧薬、ステロイド(副腎皮質ホルモン)、経口避妊薬、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬、消化性潰瘍治療薬、抗結核薬、鎮痛薬、抗酒薬、抗がん剤、免疫調整薬、抗ウィルス薬などが知られています。
特に抑うつ症状が出やすい薬を次にあげてみます。
●レセルピン(降圧薬)
降圧薬であるレセルピンを長期間服用すると、抑うつ症状が起こることはよく知られています。
症状が出るのは、飲みはじめてから半年ぐらいまでがもっとも多く、うつ病の発現率は20%程度といわれています。
●インターフェロン
C型肝炎の治療薬であるインターフェロン(抗ウィルス薬)も、抑うつ症状が出やすい薬です。
ほかに、全身倦怠感、食欲不振、無気力、せん妄、不眠、不安感といった副作用もあります。
1日の投与量が多い場合や、高齢者などの場合には、副作用が強く出る傾向があります。
●ステロイド(副腎皮質ホルモン)
ステロイドも抑うつ症状が出やすい薬です。
ただ、その症状が、使われるもととなった病気(膠原病など)の影響なのか、ステロイドの影響なのかわからないケースもあります。
抑うつ症状のほかに、せん妄、幻覚、妄想、多幸気分、軽躁、不眠、不安、焦燥なども見られます。
ステロイドによる精神症状は、多くは約2~3週間でなくなりますが、しばしば再発することがあるので、注意が必要です。
●抗精神病薬
抗精神病薬は、統合失調症の治療などによく使われる薬ですが、やはり抑うつ症状が出やすいことが知られています。
【早期発見のポイント】
もし下にあげたような薬を服用していて、「気分の落ち込みがひどい」「眠れなくなった」「ものごとに興味がなくなった」「しじゅうイライラする」「いろんなことがおっくうになった」「食欲がなくなった」といった症状があらわれたら、すみやかに医師に連絡して、対処してもらうことが大切です。
■うつ病(うつ状態)を引き起こしやすい薬剤
●降圧薬(レセルピン、α-メチルドパ、β遮断薬など)
●ステロイド
●経口避妊薬
●抗パーキンソン病薬(L-ドパなど)
●抗精神病薬(ペルフェナジン、ハロペリドールなど)
●消化性潰瘍治療薬(シメチジン、ラニチジンなど)
●抗結核薬(サイクロセリン、イソニアジド、エチオナミドなど)
●鎮痛剤(ペンタゾシン、インドメタシンなど)
●抗酒薬(ジスルフィラムなど)
●抗がん剤(ビンクリスチン、ビンブラスチンなど)
●抗ウィルス薬(インターフェロンなど)
★Point
●薬剤によって引き起こされたうつ病は気づきにくい
●抑うつ症状が出やすい薬を飲んでいる場合は特に注意が必要
●気分の落ち込みや不眠などの症状があらわれたら、すぐに医師に連絡する
奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史
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