《パニック発作とは-①》何の引き金もなく、不意にはじまる

パニック障害

ケース①
激しい動悸で心臓病を疑う

最初の発作があったのは8年前。
夜、ベッドに入ってうとうとしかけたとき、Yさん(35歳・主婦)は心臓をぎゅっとつかまれたような気がして、飛び起きました。

ドキンドキンと激しい動悸がはじまり、息ができないほど呼吸が苦しく、手足がしびれ、めまいのために気を失いそうになりました。

いったい何が起こったのか、自分はどうなってしまうのか、このまま死んでしまうのか……不安と恐怖で気が変になりそうになり、家族に救急車を呼んでもらいました。

ところが、病院に着いたころには、激しかった症状はほとんどおさまっていました。
胸部X線や心電図の検査をしても、異常は見つかりませんでした。
診察した医師からは、「少し不整脈はあるが、治療の必要はない」といわれ、結局、そのまま帰宅しました。

それ以来、Yさんはくり返し発作に悩まされるようになりました。
発作が起こっていないときも、「また起こったらどうしよう」と発作のことが頭から離れません。

こわい心臓の病気がかくれているのではないかと、あちこちの病院を受診しました。
ある病院では「自律神経失調症」といわれ、別のところでは「心臓神経症」という診断を受けて精神安定剤が処方されましたが、発作への不安は消えませんでした。

結局、Yさんがパニック障害と診断されたのは、最初の発作から3年後。
その間に、1人では近くのスーパーにも出かけられないほど、症状は進んでしまいました。

【最初は不意に起こるが、しだいにくり返すようになる】

パニック発作は、パニック障害の中心的症状ですが、ほかの精神疾患でも起こります。
たとえば、社交不安症(対人恐怖症)の人が人前で話さなければならないときや、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の人がおそろしい場面に遭遇したときなどに起こることがあります。
しかし、社交不安症やPTSDでは、発作が起こる理由(状況)がわかっていますので、その状況を避ければ、発作をくり返すことはありません。

一方、パニック障害の場合は、何の理由もないのに、不意に強烈な恐怖や不安におそわれ、激しいパニック発作が起こります。

パニック発作には、息が詰まる、心臓が破裂しそうになる、失神しそうになる、といった身体症状(自律神経症状)がともない、その強烈さがさらなる不安や恐怖をかき立てます。
そしてこの発作は、くり返し起こるため、不安が消えません。

いずれにしても、理由がわからない状態ほど不安なことはありません。
このケースのYさんのように、いくら異常なしといわれても、心臓病のような体の病気を疑い、病院を転々とする人がよく見られます。

大切なのは、最初にパニック発作が起こったときです。
病院で体の異常が見つからなかったとしても、パニック発作は精神疾患で起こりやすい症状ですから、改めて精神科や神経科などの専門医を受診し、きちんと診断をしてもらうことが重要です。

正しい診断がなされなければ、治療は見当違いのものとなり、病気は時間がたつほど慢性化していきます。
実際、Yさんも広場恐怖症がかなり悪化してしまいました。

「パニック発作」の特徴

●不意に起こり、急速にピークになる
パニック発作は、社交不安症やPTSDなどでも起こるが、発作を起こす理由や状況がある。
一方、パニック障害では、本人も意識していないときに、何も引き金になる状況はないのに不意に起こり、急速にピークに達する。
持続時間は、ほとんどが10~15分。

●くり返し起こる
人によって違うが、最初の発作から2回目の発作までの間隔は、大体数日から数週間、2回目の発作のあとは連続して起こるようになり、それが不安を強める。

●体の異常は見つからない
体の検査をしても何も異常はない。
心臓や肺などの臓器の病気のために発作が起こるわけではない。

●1日24時間、いつでも起こりうる
昼でも夜でも、発作が起こる可能性がある。
睡眠時の発作は、40%の患者さんに認められる。

★Point
●急激に強い恐怖や不安におそわれ、同時に、動悸、呼吸困難などが起こる
●身体症状はあるが、体の検査をしても異常は見つからない
●診察では「異状なし」でも、本人は体の病気ではないかと思い、不安がつのる

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

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