身体の衰えと不調、ライフイベントの変化でうつに「老年期うつ病」とは

心の病気

【どんな病気?】
退職や身近な人との死別など、人生の節目が引き金に

一般に身体の不調に加え、物忘れや被害妄想などの精神的症状が混在して現れます。
認知症と間違われることが少なくありませんが、認知症は症状が徐々に現れるのに対して、老人性うつ病は短期間に症状が現れるという特徴があります。
この2つは治療法が異なります。

老年期(65歳以上)は、老化による身体の不調や、糖尿病、高血圧などさまざまな疾患が現れたり、身近な人との死別など、環境の変化が次々と起こる時期です。
それらの不安や喪失感などをきっかけに発症するケースが多いといわれています。

また、妻(特に主婦)の場合は、定年を迎えた夫と長い時間を過ごすことになる環境の変化で、心身の負担が増大し、うつを発症することもあります。
うつ状態が悪化すると、自殺に至るケースもあるので、早めの治療が必要です。

【精神症状】
●悲観的になる ●気力や集中力が低下する ●落ち着かない ●被害妄想にとらわれる ●好奇心や意欲がなくなる ●物忘れをする ●症状が悪化すると自殺願望も ●不安や焦燥感

【身体症状】
〇めまいや身体のふらつき 〇頭痛 〇腰痛 〇肩こり 〇便秘 〇不眠 〇食欲不振 〇朝起きられない 〇倦怠感や脱力感で体調がすぐれない

【病因】
<遺伝・体質的な背景>
以前にうつ病の病歴があるとなりやすい。
多くの場合、遺伝性は認められない。

<心理・社会的な要因>
几帳面、真面目、完璧主義など、うつ病になりやすい性格傾向がある。
身近な人やペットが亡くなったときの喪失感、退職や子どもの独立、がんや高血圧、骨折などの身体疾患からの不安、老化による心身の衰えから将来を悲観する、などにより起こることがある。

<脳・神経機能の関与>
加齢による脳機能の低下、加齢による脳内の神経伝達物質(脳内の神経細胞間の情報を伝達するもの)であるセロトニンの分泌の減少、脳梗塞の後遺症などが関与することがある。

【治療法】
<薬物療法>
抗うつ剤の服用が基本。
ただし、高齢者の場合は副作用の影響が大きいので注意が必要。

<精神療法>
カウンセリングが有効。
特に高齢者の場合は医師やカウンセラーにいろいろ話を聞いてもらうことで、抑うつ状態が改善されることが多い。

【受診の目安】
症状が2週間以上続いたら受診を

前述の症状が2週間以上、毎日のように続く場合は、心療内科や精神科を受診してみましょう。
何らかの身体疾患が見つかることもありますし、うつ病の治療が必要となることもあります。
家族も、本人のそうした変化に気づいたら、受診を勧めるようにしてください。

【本人や周囲が気をつけること】
喪失感が強いときは、何か生きがいを見つけたい

栄養バランスのよい食生活を心がけ、無理をせず、くつろいで過ごせるように環境を整えることが大切です。
家族は、本人が訴える悩みや不安を「気のせい」などと否定せず、本人の気持ちを受け止めて共感し、安心感を与えるようにしましょう。
喪失感が強い場合は、趣味を見つけて一緒に楽しむようにしたり、散歩に連れ出したり、地域のサークルに参加したりと、新しい生きがいを見つけることができるよう、働きかけてみることも必要です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

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