特定の場所や人に対して沈黙する「選択性緘黙(場面緘黙症)」とは

心の病気

【どんな病気?】
根底には強い不安や恐怖があるといわれる

選択性緘黙(場面緘黙症)とは、発声器官にも言語能力にも問題がないにもかかわらず、特定の場所や人に対して話せなくなる障害です。
医学的には不安障害のひとつ、学校教育では情緒障害のひとつとして、特別支援教育の対象となっています。
原因ははっきりしていませんが、その根底には強い不安や恐怖があるといわれています。

2~5歳の幼児期に発症するのが一般的ですが、多くの場合、家庭や親しい人との間では話すことができるため、気づくのが遅くなりがちです。
また、小学校に入学してからも、周りに迷惑をかけることがないので、そのまま放置されることも少なくありません。

症状は一過性の場合もありますが、なかには幼少期に発症し。そのまま成人まで持続することもあります。
長く続くと症状が固定化されるだけでなく、話さないことで学習面や友人関係に支障をきたすこともあり得ます。
症状が自然に改善されるとは限らないので、二次障害を引き起こさないためにも対応をすることが大切です。

【精神症状】
●家庭の外では強い不安を感じ、常に緊張している ●家庭では、その反動でイライラすることがある ●癇癪を起こしやすい ●特定の場所や人の前で話せなくなる

【身体症状】
〇緊張で動作がぎこちなくなる 〇話せないことで、指さしや筆談が多くなる

【病因】
はっきりと解明されていないが、さまざまな要因が複雑に影響し合って発症するとされている。

<遺伝・体質的な背景>
先天的に刺激への過敏性があるのではないかといわれている。
かつては原因のひとつとして親の育て方が挙げられていたが、現在は否定されている。

<心理・社会的な要因>
不安の少ない環境や場面では問題ないが、不安を感じる場所では緊張し、ささいな刺激でも過敏に反応して不安になってしまう。

<脳・神経機能の関与>
刺激に対する過敏性は、脳の機能に起因しているといわれている。
認知の偏りがある場合もある。

【治療法】
どんな場面でも話し出せるように療育を行う。

<薬物療法>
基本的には使用しない。

<精神療法>
遊戯療法、行動療法など、子どもの状態に合わせた心理療法が効果的。

【経過】
原因がはっきりしないので、根本的な治療は難しいが、本人が安心感を得られるようになれば、改善されることもある。
一方で、不登校や引きこもりなどになってしまうこともある。

【受診の目安】
担任から指摘を受けたら相談を

この症状は、入園、入学、転校など、環境が変わるときに生じることが多く、親は担任の教師などから指摘されて気づくことがほとんどです。
指摘を受けたら、放っておかずに、まずは子どもの通う学校のスクールカウンセラーや特別支援教育コーディネーターに相談することが必要です。
地域の保健センターや臨床心理センターなどで相談してみるのもよいでしょう。

【本人や周囲が気をつけること】
リラックスできる環境をつくる

家庭ではもちろん、幼稚園や保育園、学校でも、担任の先生などと相談して、子どもの不安を減らし、リラックスできる環境をつくるようにしましょう。
本人に対しては、コミュニケーションが取れないからと放置するのではなく、「話せない」ことを理解したうえで、不安や緊張を感じさせないように普通に接することが大切です。
「どうしてしゃべらないの?」などと詰問するのは禁物です。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史

コメント