最近よく耳にする ゛新型うつ病゛とは?

心の病気

最近、゛新型うつ病゛という言葉を耳にする機会が多くなっているのではないだろうか。
しかし、うつ病治療の権威である精神科医を中心とした学術団体である日本うつ病学会は ゛新型うつ病゛という専門用語自体が存在せず、そもそも科学的に十分な検討がなされていないということを公式に発表している。
もちろん、このような ゛新型うつ病゛という話題は現時点で日本だけのものであるため、DSM-5(米国精神医学会の、精神疾患の診断・統計マニュアル)にも名称も診断基準も掲載されていない。
いわゆる、゛新型うつ病゛とよばれるものには以下のような特徴があるといわれている。

【いわゆる ゛新型うつ病゛の主な特徴】
①若年層に多く見られる。
②不全感・疲労感・倦怠感があるが抑うつが顕著には認められない。
③ストレッサーに対して回避的な行動を積極的に取ろうとする。
④自分自身ではなく、周囲の他者や自身の所属する企業や学校を非難し、責める。
⑤抑うつエピソードの基準である2週間以上の各種症状の持続が認められず、ストレッサーではない活動(例:趣味・旅行・遊び)などの場合には症状が治まり、活発に活動する。

これらの特徴からも分かるように、そもそも ゛新型うつ病゛は抑うつエピソードという本来のうつ病の前提基準を満たしていない。
また、⑤に関しては脳・神経・神経伝達物質の異常という内因性精神障害の区分からも逸脱している。
また、いわゆる ゛新型うつ病゛のクライアントが若者、特に就職したばかりの若者や大学に入学したばかりの学生などに多いという傾向も、どの年齢でも発症する可能性があるという本来のうつ病の傾向とも異なっている。
これらの情報を総合して、「現状のうつ病の基準を満たしていない新しい傾向のうつ病」という意味で ゛新型゛という名称がついているという状況にある。
しかし、実際にはいわゆる ゛新型うつ病゛の特徴を示す若者は1970年代から既に存在していたため、何ら新しい部分はないということになる。
また、DSM-5の診断基準において多くの精神疾患で規定されているのが、「各種症状の発症原因が他の身体疾患・精神疾患では説明できない」というものである。
゛新型うつ病゛の示す特徴が通常のうつ病の症状から大きく逸脱しているのは、そもそも他の精神疾患が原因であるためではないかとも考えられる。
他の精神疾患との関連では、神経発達症やパーソナリティ障害の可能性やそれに近似した認知・性格の傾向が示唆される。

いわゆる ゛新型うつ病゛のクライアントが多く認められ、それに付随する問題が懸念される企業においては、クライアントの支援として、まずは教育的研修の実施が重要視されている。
これは通常のうつ病による休職・離職に対する支援とは大きく異なるものである。
゛新型うつ病゛の場合は他者との関わり方や自身の社会人としての在り方、企業の就業規則などを理解するということが必要となると考えられ、こういった研修の実施が効果を上げている例も認められる。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史