その瞬間の興奮と満足感を味わうことに依存「病的放火、病的窃盗」について

心の病気

【どんな病気?】
いけないことだとわかっていても衝動をコントロールできない。

<病的放火>
明確な動機もないのに、火をつけてはいけないものや場所に火をつけたり、あるいはつけようと企てたりするものです。
放火の行為自体が喜びとなっていて、常に火のことが頭から離れず、火をつける前には極度の緊張を感じ、火をつけた直後は激しい興奮を覚え、火が回る様子や消火活動、野次馬にも興味を示します。
人によっては性的興奮を覚えることもあります。

<病的窃盗>
窃盗行為をするときの緊張感、成功したときの満足感と解放感を味わうことへの依存による行為です。
その行為に依存しているため、対象となる物品は特に欲しいものとは限りません。
捨てたり、人にあげたり、店に戻しに帰ったりします。

病的窃盗の多くは万引きで、一人で犯行に及びます。
見つかれば、失職、家庭崩壊などを招くこともわかっていますが、衝動をコントロールすることができません。

【精神症状】
<病的放火>
●放火によって満足感や安心感を得る ●消防署や消防隊員に強い執着がある

<病的窃盗>
●盗むことで快感や満足感、解放感を得る ●金銭的価値のないものでも盗むことがある

【病因】
<遺伝・体質的な背景>
特にわかっていない。

<心理・社会的な要因>
幼少の頃のつらい家庭環境や学校でのいじめ、大人社会で感じる劣等感など、蓄積されたストレスや欲求不満から解放されるために放火や窃盗に走ることがある。
それが次第に快感となり、やめられなくなるケースが多い。
薬物乱用やアルコール依存症が関係していることもある。

<脳・神経機能の関与>
特にわかっていない。

【治療法】
<薬物療法>
抗うつ薬のSSRIが効果的な場合がある。

<精神療法>
カウンセリングで放火や窃盗に至る心理を見極めていくほか、認知行動療法で放火・窃盗という行動をコントロールしていくなど再発防止に努める。
家族療法も必要となることがある。

【経過】
<病的放火>
発症年齢は幅広く、そのほとんどは男性。
子どもの場合は治療を受けるとほぼ寛解状態になることが多いが、大人の場合は回復には時間がかかる。

<病的窃盗>
症状は頻繁に活動するときや、少し休息時期があるときを経て慢性化する。
治療によって回復に向かうが、再発の可能性もありうる。

【受診の目安】
大事に至る前に受診させたい

放火癖や窃盗癖の自覚があるときは、大事に至る前に早めに治療を受けるべきです。
特に放火は、逮捕されると重い刑罰が科せられるだけではなく、死者が出ることもあります。

家族は、警察から連絡があって初めて本人の放火癖や窃盗癖を知ることがほとんどです。
身内が罪を犯した事実にショックを受けても、激情に任せて叱ったり、家庭内で穏便にすませようとしたりせず、すみやかに医療機関に連れていく必要があります。

【本人や周囲が気をつけること】
家族は本人の気持ちに寄り添う

治療を受けるとともに自助グループに参加し、同じ悩みをもつ人同士で語り合い、回復のイメージをもっていくことも必要です。

家族はコミュニケーションが十分に取れていたか振り返るとともに、本人の気持ちに寄り添う努力をしましょう。

奈良 心理カウンセリングルーム
ナチュラリー. 鍛治 剛史